TVゲームはコミュニケーションツールだ!!

 

とかく一人遊びの代表格に考えられがちなTVゲームであるが、実際はコミュニケーションツール的な側面を大きく持っている。これだけTVゲームという媒体が世の中に広まった現在では、見ず知らずの人間とでも、ゲームの知識を取っ掛かりとして話題を繋ぐ事が出来るのである。

現代の若年世代は、TVゲームの知識を共通認識として備えていることが多い。平安時代の和歌や白楽天の詩、江戸時代の俳諧や舞踊、ちょっと前までは男の話題として当たり前だった麻雀、野球、車などと同等の知識ベースが各人に備わっている。

しかし、コミュニケーションツールとはいっても、ゲーム機にはあまたの機種がある。それによって出来る会話も限られてくる。今回は機種別におけるコミュニケーションの違いを取り上げたい。

一つ、シチュエーションを考えてみようか。

貴方は今、お見合いの席にいる。目の前には結構可愛い女性が和服を着て慎ましく座っている。既に世話人の夫婦や双方の親族はいない。例の「ここは若い二人にお任せして、私達年寄りは席を外しましょうかね。○○さん、お庭でも見てきましょうか。」ってやつである。普段庭なんか見る趣味ないくせに。

取り敢えず通り一遍の質問は終えてしまった。話題に詰まった貴方は、困り果てた挙げ句、一つの質問をした!

「あの、不躾で失礼ですけど、TVゲームなんか、おやりになりますか?」

第一の使徒
相手の女性 :「はい?」

貴方 :「TVゲームなんか、おやりになりますか?」

女性 :「あ・・・、はい、少し・・・。」

貴方 :「機種は何をお持ちですか?」

女性 :「あの、プレイステーションを持っています。」

貴方 :「あ、そうですか、自分もプレイステーション持ってますよ。」

女性 :「友達が持っていたんですけど、遊ばせてもらっているうちに夢中になっちゃって、この間、 とうとう自分で買ってしまったんです。」

貴方 :「そうですか。最近はどんなゲームをやってます?」

女性 :「あまりゲームとかもっていなくて・・・。あ、でもファイナルファンタジーとかは自分で買って 終わりまで行きました。」

貴方 :「凄いじゃないですか。僕なんか途中で行き詰まって、投げ出しちゃいましたよ。」

女性 :「そうなんですか?」

貴方 :「××城の所なんですけどね。あそこのボスが強いじゃないですか。」

女性 :「ああ、そうでしたっけ。」

貴方 :「今度良かったらその場面のコツみたいなの、教えてください。」

女性 :「え、ええ、わかりました。」

 

おお、何とか会話として成立しそうだぞ。次のケース行ってみよう。

第二の使徒
貴方 :「TVゲームなんか、おやりになりますか?」

女性 :「あ・・・、はい、少し・・・。」

貴方 :「機種は何をお持ちですか?」

女性 :「あのー、任天堂の新しいゲーム機を持ってます。」

貴方 :「ニンテンドー64ですか?」

女性 :「そうです、それです。友人がゲーム機持っていたんで、私も欲しくなって、玩具屋とか一人で行ったんですけど、ファミコン下さいって行ったら、お店の人に笑われて・・・。」

貴方 :「へぇー。」

女性 :「いま、ファミコンで一番新しいのはこれだよって、それ渡されたんです。」

貴方 :「あ、僕もニンテンドー64持ってますよ。どんなゲームとかで遊んでるんですか?」

女性 :「あまり買わないんですけど、この間、ゼルダの伝説買いました。テレビでCMよくやってましたよね。」

貴方 :「それ、僕も持ってます。どこまで進んでるんですか?」

女性 :「まだ○○の森辺りなんですけど・・・。けっこう難しくて。」

貴方 :「へー、僕はそこまで行ってないですよ。まだ始めたばかりなんで。」

女性 :「あ、そうなんですか。」

貴方 :「今度そこまでのやり方、教えてください。」

女性 :「あ、はい。わかりました。」

 

これもOKだな。この場合当然貴方はニンテンドー64は持っていなくて、後で買いに走る訳である。それじゃ次、行ってみよう。

第三の使徒
貴方 :「機種は何をお持ちですか?」

女性 :「あのー、テレビに繋ぐような大きなものじゃないんですけど、携帯用の、ゲームボーイを持っています。」

貴方 :「ああ、ゲームボーイですか。」

女性 :「姉の子の誕生プレゼントにしようと思っていたんですけど、お店で見ているうちに、私も欲しくなっちゃって。」

貴方 :「そうなんですか。僕もゲームボーイは持っていますよ。古いやつですけど。」

女性 :「今では、姉の子と、通信でポケモンのやり取りとかもしてるんですよ。あ、ポケモンて御存じですか?」

貴方 :「ええ、知ってますよ。有名ですよね。」

女性 :「もうほとんどのポケモン集めたんですけど、まだあと数種類残ってるんですよ。」

貴方 :「僕もポケモンは持ってますからね。こんど、ポケモンの交換とかしましょうよ。」

女性 :「そうですね、是非。」

 

これも問題無し。貴方は昔テトリスの為に買った図体のでかいゲームボーイを、埃にまみれた押し入れの中から探し出して、ポケモンと電池を買いに走る事になるわけだ。

問題はここからだな・・・。

第四の使徒
貴方 :「機種は何をお持ちですか?」

女性 :「あのー、セガサターンを持ってます。」

貴方 :「ええ?セガサターンですか?」

女性 :「弟が高校の時に買ったんですけれど、大学に入って家を出ちゃったもので、その時置いていったんです。」

貴方 :「ああ、そうですか。」

女性 :「しばらくそれで遊んでいるうちに、面白くなっちゃって、ゲームとかも自分で買うようになって。」

貴方 :「自分はプレイステーションしか持っていないんですけど・・・。」

女性 :「そうですよね。セガサターンって今あまり人気ないですよね。」

貴方 :「ああ、でもセガって今、せがた三四郎とか、何とか専務とか、面白いコマーシャルやってますよね。」

女性 :「あ、湯川専務でしたっけ。」

貴方 :「あ、そうです、そうです。」

女性 :「セガサターンのゲームも面白いですよ。」

貴方 :「そうですか。今度、是非やらせてください。」

女性 :「そうですね、是非。」

 

あー、厳しいな。なんとか会話として成立か。さすがに今からサターン買うリスキーなやつはおらんな。

しかし、上には上が・・・。

第五の使徒
貴方 :「機種は何をお持ちですか?」

女性 :「あのー、御存じかどうかわからないんですけど、FXという機種を・・・・。」

貴方 :「は、はい?」

女性 :「・・・・NECのFXという機種を・・・・。」

貴方 :「な、なんだか目薬みたいな名前ですね、ははは・・・。」(作者注:それは参天製薬。)

−−−−−−−重い沈黙。−−−−−−−−

第六の使徒
貴方 :「機種は何をお持ちですか?」

女性 :「あのー、3DOを・・・。」

貴方 :「え、ええ!?」

−−−−−−−かっこーん。(ししおどしの音。)−−−−−−−−−

第七の使徒
貴方 :「機種は何をお持ちですか?」

女性 :「あの・・・、バーチャルボーイを・・・。」

貴方 :「う、うそ!?」

−−−−−−−とっぽーん。(かわず跳ンだる水の音。)−−−−−−

第八の使徒
女性 :「ピピン@を・・・。」

貴方 :「へ?」

最後のシ者
女性 :「リンクスを・・・・。」

貴方 :「・・・・・・・・・・気持ち悪い。」

 

いやー、なんか機種によってえらい差が出るなぁ〜。

普及の少ない機種はコミュニケーションが取りづらいんだけども、逆説的に言えば、コミュニケーションの取りづらい機種は普及しにくいのではなかろうか!?(代表格バーチャルボーイ!)

 

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