最初に買ってもらった電子ゲーム機
「バンダイ LSIポータブルゲーム サブマリン」子供のころから、電卓とか、明滅するダイオードとか、電気的なものに関心のあった自分が、最初に買ってもらった電子ゲーム機である。おそらく、1977年頃と思われる。
自分が小学校入学前は電卓というもの自体が珍しく、うちでは祖母しか持っていなかった。今では考えられないような弁当箱サイズで、FL管で発光して9V電池を使用していたものと思われる。
いつもは孫に甘い祖母ではあったが、当時希少品だった電卓を年端も行かぬ子供に触らせるには流石に不安があったらしく、自分がしつこく「触らせてくれ」とねだっても、頑として触らせてくれなかった。
まあ、隠してある場所はおおよそ見当がついていたので、祖母のいないときを見計らってこっそり取り出し、遊んでいたわけであるが。
何にも考えなくても「1+1」とか、「23457+67482」とかでたらめを入力しても、間髪入れず「2」とか「90939」とか解答がはじき出される様子を見て、やたらと興奮したものだ。そんな自分であるからして、当然コンピュータゲーム機には子供の頃から大いに興味があった。1975年以降はぼちぼちとこの手のLSIを使用したゲーム機がおもちゃ屋に出回り始め、ついに父親に買ってもらった初めての電子ゲーム機がこの「サブマリン」であった。小学校入学前のこと。
今手元にあるのはヤフオクで再度購入したもので、マイナーチェンジが施されているようなので、自分が購入したバージョンとは若干違う。
自分が購入したものは、自機と敵魚雷を示すランプが剥き出しバリバリの発光ダイオードで、何の装飾もされていなかったが、ヤフオク購入バージョンは発光部が船の形のようにくりぬかれており、そこから灯りが漏れるような仕組みになっている。細部のデザインも若干違うようである。しかし、ゲーム内容は全く同じ。昔と変わらぬ攻略法で、今も150点満点のカウントストップを狙える。
パッケージ外観。
ゲーム機本体。
はいゲーム内容の説明です。
ゲーム内容はシンプルである。3×7のスクウェアがあり、海面上に自機である一隻の駆逐艦がぽつんと存在している。
敵は水面下を動く潜水艦であり、3×7のスクウェアのどこかに、見えないけれども潜んでいることになっている。敵潜水艦は同時に2隻は現れないので、駆逐艦と一対一のサシの勝負を挑むことになるのだが、当然潜水艦は見えないので、ソナー音で潜んでいる所を推測し、ファイヤーキーで爆雷を投下して撃破する。
ただし、時間がたつにつれて水面下で潜水艦も移動するので、ソナー音の変化で、どちらに移動したかも推測しなければならない。要は3分の1!
ソナー音は、「ビッビッビッビッ」と若干音と音の間に間隔が空いたものと、「ビビビビビビビビ」と間断なく鳴り続けるものの2種類がある。
「ビッビッビッビッ」の場合は、下図のように◎が自機の駆逐艦だとすると、●の所のどこかに潜水艦が潜んでいる。
○−○−●−○−●−○−○
U U U U U U U
○−○−●−◎−●−○−○
U U U U U U U
○−○−●−○−●−○−○要は両サイド3マスづつ、6分の1の確率。まあ自機が端っこにいるときは隣の3分の1に限定されるけど。
次にソナー音が「ビビビビビビビビ」という連続音の場合、自機と潜水艦の関係は、◎をふくむ●縦一列の3分の1、どれかになる。
○−○−○−●−○−○−○
U U U U U U U
○−○−○−◎−○−○−○
U U U U U U U
○−○−○−●−○−○−○これを飲み込んで爆雷を投下するわけである。相手の潜水艦を一撃でしとめた場合は5点、一発目失敗し爆雷が二発必要になった場合は3点、それ以降は1点となる。
だいたい潜水艦の行動にはパターンがあり、両サイドから交互に登場し、その後中央に向かってくるというパターンを取る。これさえつかんでいればあとは待ち伏せするだけなので、かなりの確率で高得点が狙える。
敵潜水艦は時々魚雷を撃ってくるので、これをかわす必要がある。(自機が濃い発光ランプ、敵魚雷は淡い発光ランプという区別。とほほ。)
魚雷のスピードはハエが止まるほど遅いので、はっきり言ってかわす事は非常に簡単。だが、魚雷のスピードのあまりの遅さに、自分からぶつかりにいって自滅してしまうこともあるので、意外と油断は禁物。どのみち3×7マスだから、逃げ場だって少ないのだ。ちなみに、自分の持ち爆雷数は上限30発と決まっているので、30発の爆雷を投下し終わると強制終了。だから、全潜水艦を一発でしとめて5点満点を獲得し続ければ、自動的にカウントストップは150点という事になる。
実は上記のゲームシステムを理解するのに、大変時間がかかりました。
うちの父親はこういう事をやらせると大変飲み込みがよく、まったくゲーム内容を理解できない幼少の自分を尻目に150点連発して自分を悔しがらせていた。
小学校に上がるくらいになって、ようやく点数の取り方にはパターンがあることをつかみ、150点満点を取ることも珍しくなくなっていたのだが、実はソナー音と潜水艦の所在の関係を完全に理解したのは、ひょっとして社会人になってからではなかっただろうか。(遅すぎだろ・・・・・・。)
当時の状況
このLSIポータブルゲームは何種類かあり、このような海戦ものだけでなく、戦車戦のようなものもあったようである。同じように発光ダイオードの自機を操作して砲撃するゲームであったようだが、ルールはそれぞれ全く異なり、互いに独立したゲーム性を持っていたようだ。
これらのゲームはゲームセンターのゲームを移植、という色合いは薄く、ボードゲームのシステムをリアルタイム制にして簡略化、LSIに判断を任せるという原始的なやり方で、まさしく電子ゲーム機黎明期の作品と言える。
自分としては、電卓でも面白がっていたのに、リアルで電子処理のゲーム機が入手できてしまったのだから、めちゃ喜んで猿のようにプレイしていた。
その割には上述のとおり、完全にシステムを理解するのは大変遅かったのであるが・・・・。