大した事のない特集、第八弾!!(00.07)
 

タレントの公的責任


  芸能界というのは旨みの多い商売らしい。たとえ二線級のタレントでも、地方で営業等を行なえば、かなり楽に稼げるとの話である。
  また、向上心や野心を持っている人間にとっては、大きなチャンスを見出す事の出来る業界として、非常に魅力のある世界だろう。
 

  一度芸能界でそれなりの地位を築いてしまえば、そこから足を洗う事もなかなか至難の業らしい。
普通の女の子に戻りたかった三人組の少女も、普通のおばさんに戻りたかった実力派の演歌歌手も、結局みんな戻ってきた。
  芸能界というのは、カムバックの誘惑を断ち切り難い、それだけ美味しい世界なのだろうと推察できる。
(なにより普通の人間の生活なんて退屈の極みだからねー。)
 
 

  それでも、そのような刺激に満ちた世界を、自らの選択として辞めていく人間もいる。
人気を失い、タレント活動が続行できなくなって普通の人間に戻るのではなく、前途洋々とした若手のタレントが、突然芸能界を辞して衆目の前から消え去ってしまうのだ。

 
  最近であるが、あるティーンエイジの若手女性アイドルが私的事情を理由に突然活動を全く停止してしまった。

  私的事情の内容というのは色々な憶測を呼んで、スポーツ新聞等にセンセーショナルな書かれ方をしたみたいだが、真相は未だに不明。
  CM、ドラマなどにも露出し始め、ブレイク寸前と思われた矢先、完全に芸能界から身を引いてしまったわけだ。

  先頃、この女性アイドルのファンサイトにたまたまたどり着いたので、ちょっと覗いてみた。

  そこの掲示板で発露されるファン達の発言は、失われてしまった偶像に対する思い入れと、人間として一人の女性の生き方を思いやる声に満ち、部外者の自分が見ても痛切たるものがあった。
求心力たるアイドルの存在を欠き、寂寥感がひしひしと漂う。
  当のアイドルの知り合いが書き込みをしており、
「XXは幸せ者です。こんなに真剣にXXの事を考えてくれる人達がいるのですから。」
というファン達への感謝が逆に痛々しい。
 

  芸能人といえども人間であり、仕事が成立しなくなるような私的トラブルも当然発生しうるのだろうが、そのタレントの活動を楽しみにしているファン(=顧客)が存在する限り、タレントにも公的責任(あるいは職業倫理)が発生すると考えるのだが。
 

  自分が、その女性タレントに対して感じる事は以下の通り。
 
    単なるネタとして騒ぐだけ騒いだマスメディアに対してはどうでもいいが、支持してくれた(そして無念さを隠し切れないながらも、芸能界引退という選択ですら支持している)良質の顧客に対しては、何らかの決着(あるいは配慮)をつけてあげてもいいのではないか。つけてあげてください。

 
  このままでは”そごうデパート”と変わらん。
 
 

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