大した事のない特集、第十二弾!!(01.08)
SEGA、ドリームキャスト生産中止。果たしてセガの敗因は?(完結編)
今回は、セガのハード撤退後のゲーム業界今後の展望。
セガのハード事業撤退、任天堂&マイクロソフトの新ハード発表、PS2ソフト販売の鈍りなど、新たな状況を迎えて再編を余儀なくされるTVゲーム業界。
今後は如何に展開していくのか、展望を予想してみたい。
任天堂
少子化により、任天堂商法は徐々に苦戦か?
任天堂のボリュームゾーンは、ゲームボーイを核とする「ポケモン」「マリオ」「ゼルダ」を中心とした低年齢層のユーザーである。個々のゲームの完成度は非常に高く、万人が面白いと感じるゲームバランスの仕立て方に妙味がある。
ただ、20〜30代の第二次ベビーブーマーには、「今更マリオでもないだろう」とすっかり飽きられているので、この年齢層での伸長はあまり望めない。
尚且つ、欧米や日本といった先進諸国では少子化傾向に拍車がかかっており、この点で低年齢層中心の商売を広げている任天堂が、今後苦戦することは十分に予想される。
ただ、任天堂の作るゲームには普遍的な面白さがあり、中国、インド、東南アジアといった人口の多いところでマーケットが成立すれば、「ポケモン」「マリオ」等のタイトルが強みを発揮する可能性もあるだろう。
しかし、日本での任天堂の伸びしろはもはや少ない。
ハードは、GBアドバンスを中心に
ニンテンドー64に変わるニューハード、ゲームキューブが発表されたが、これは中核ハードではなく、携帯用ゲーム機に飽きた子供達への上位受け皿的立場と見る。あくまで、任天堂の中核ハードは携帯機であろう。今後は、ゲームボーイアドバンスが中心商品になっていくと思われ、ゲームキューブはその付随的存在と推測される。
これは、現状のゲームボーイと、ニンテンドー64の関係と同様になる。この戦法は、安価な携帯ハードを中核戦略機に据え、高級機はそれと連動したソフト展開を行なう事によって相乗効果を狙うというもので、GB「ポケモン」人気の爆発によって偶然生まれた方式である。
高級ハードを周辺機器として扱う画期的な戦略で、ソニーやマイクロソフトには真似のできない独自の手法だ。
今後の任天堂のポジション
任天堂に、もはや新しい提案や業界を先導していく力はないと見る。旧態然とした(しかし、非常にバランスのよい)ゲームを作り出し、低年齢層の確固たる支持を武器として業界二位の地位を不動のものとしていくだろう。
ゲーム自体が普遍的面白さを追求したものばかりなので、業界でのサバイバビリティは非常に高いものがある。
PS2を中心とする新世代が、袋小路に落ち込んでサドンデスを迎えるとしても、任天堂の作るゲームのみは、細々とでも生き残っていくかも知れない。
ソニー・コンピュータ・エンターテイメント
ゲーム業界のサドンデスを先導するPS2
PS2は、ハード性能重視、ソフト軽視という点で、史上最悪のハードと言える。ニンテンドー64やドリームキャストを性能的に圧倒してユーザーの囲い込みを行い、PSの勢いを引き継いで、単に売れる分だけ売ったハードである。
ゲームの作りづらさと開発費用の高さには定評があり、発売以来一年半を経ても、キラータイトルといえるソフトはせいぜいFFのみである。
ゲーム機としてはドリームキャストより遥かに質が落ちるくせに、ブランドイメージだけで発売当初だけ売れまくり、(ゲーム業界における)貴重な実験機だったドリームキャストを潰した大罪人でもある。
発売されるゲームの数々も本質的にPS時代と面白味が変わっておらず、そこには新しい提案も斬新なアイディアが伸長する余地もなにもない。ポリゴン数の増長と画面解像度が高くなっただけのマシンだ。
まさに黄昏時のゲーム業界を象徴するマシンであり、自分達TVゲーム世代からそれへの余熱を奪うエナジードレインのような存在である。
ここまで罵倒するのは、未だに心を引かれるPS2のソフトが殆ど存在しないからだ。発売当初、あれだけ業界を席巻しておいて、未だに新しいゲームマーケットの構築が全く出来ていない。あの筐体を前にして、一体何をプレイしようとする意欲が湧いて出てくるのか。
ゲーム業界にサドンデスは近い。アタリショックの再来。先導するのは間違いなくPS2である。
親会社と子会社の思惑の違い
PS2発表当時、親会社であるソニーは、次世代のマルチメディアステーションとしてPS2を売りたがった。鬼っ子のはずだったPSが、最大の利益をあげる金の卵であると(ようやく)分かった瞬間、手のひらを返すようにしゃしゃり出て、子会社に干渉したがったのである。
PSをこれまでじっくり育ててきたソニー・コンピュータ・エンターテイメント(以下SCE)は、親会社の意見を突っぱねて、PS2を「あくまでこれはゲーム機である。」と連呼した。見識であり、当然のことである。
しかし、PS2を、VAIOと共に情報端末戦略の中核に据えようとするソニー本社と、マルチメディアを謳って討ち死にした過去のゲーム機の二の舞を恐れるSCEで、PS2に対する意識の齟齬が存在するのは事実。今後のPS2販売上に於いて、この認識の齟齬は致命的になってゆくかもしれない。
今後のSCEのポジション
残念ながらというべきか、この業界のトップランナーはPS2を擁するSCEである。
今後、瞬間風速的に任天堂に売上や利益が敗北する時期があるかも知れないが、今後の業界を先導するのは間違いなくSCEなのだ。
FFとDQを自陣に保有する限り、SCEとPS2のポジションは不動である。PS2は今後値下げを進めていくことと思うが、それとFF&DQ連合の発売を絡めて、販売台数を伸ばし、支配的地位を守りつづけていく事だろう。
FFとDQ頼みのPS2からは、新しい提案や斬新なアイディアなど何も生まれてきやしないが。
無論、FFとDQ程度にしか関心を示さないライトユーザーにも、その責任の一半はある。が、彼等はTVゲームなど存在しなくても全く痛痒を感じないので、話題に遅れない程度にFF&DQを嗜む生活を続けていくと思われる。
FFとDQがゲーム作りに失敗した時、それがアタリショックを再度招来するときであろう。
セガ・エンタープライゼス
ハード事業撤退
自分は、ドリームキャストを買うとき、「セガの死に水を取る」と宣言していたが、残念ながらその予測は当たってしまった。
資金的に限界のある一ゲーム企業が、世界のソニーを相手に回して体力勝負を挑んだ事自体がそもそもの間違いであったし、最大の成功を手に入れた数百万台というセガサターンのマーケットを「業界トップに立ちたい」というような熱病にうかされてみすみすドブに捨ててしまった事も大きな失策であった。
さて、今後は開発グループごとにソフトメーカーとして独立し、他のハードに商品を提供していく事になった訳だが、果たして成功するであろうか。
可能性はあるものの、かなり厳しい情勢であると見る。
セガが強かった時代とは、アーケードで斬新なゲームを発表し、それを家庭用機に落とし込む事によって人気を勝ち得ていたという時代であった。
しかし、肝心のアーケードの牽引役であったセガ自身が、ドリームキャストへ力を傾注しすぎたため、結果としてアーケードマーケットの壊滅状態を招いてしまった。
しかも現在はアーケードと家庭用のゲーム機に性能差が殆どなく、アーケードのありがたみを出すに非常に難しい時代となっている。
このような状況下で、セガのソフトメーカーとしての価値も著しく下落している。全盛期ならともかく、現在のセガがソフトメーカーとして参入してくれるといったところで、他のハードはそれほどメリットを感じないだろう。
侮れない開発能力
先ほどの項目でソフト会社としても成功は厳しいと断じたが、それでも、セガが成功する可能性が皆無という訳ではない。
ゲーム開発能力に関しては侮れない高い技術力を保有しているからだ。
セガサターン、ドリームキャスト等で見せたソフト技術の高さは、今後どの機種をプラットホームに選ぼうとも、存分に発揮されていく事だろう。
あとは、アイディアだけ。創造的なゲームを生み出すことが出来れば、セガにも生き残りのチャンスはある。但し、状況はかなり厳しい事を覚悟しておかねばならない。
マイクロソフト
先行き不透明なX−BOX
X−BOXを鳴り物入りで発表し、ゲーム業界へ殴りこんだマイクロソフトであるが、その成功は微妙である。
お膝元のアメリカは、こだわりこそあるがゲームバランスのまるでなっていないマニアックなゲームか、もしくは人気コミックのキャラゲーしか普及していないので、メガヒットを放てるだけのソフトハウスが存在しない。
メガヒットを放てる実力を持ったソフト会社は、殆どが日本に存在しているので、日本にあるメーカーの協力をどれだけ得られるかが勝敗の鍵を握る。
しかし、ナショナリズムという、商売を度外視したパラメータを組み込んだ場合、アメリカ製のハードに日本のソフトメーカーが喜んで参入するとは思えない。
既に、SCEや任天堂といったデファクトスタンダードが存在する現在、X−BOXが成功を収められるかどうかは、非常に微妙。先行きはかなり不透明だと思われる。
その他携帯ゲーム機
ワンダースワン、ネオジオポケット
正直、あまり命脈が長いとは思えない。携帯ゲーム機界には、任天堂という巨人がいる。この牙城を崩すのは困難だろう。ネオジオの開発元、SNKは事実上倒産をしてしまった。
今後のTVゲームはどうなっていくのか
1960年代に産声をあげ、1970年代に定礎を築き、1980年代に活力を爆発させ、1990年代に爛熟の時を迎えたTVゲーム。
2000年にはもはや一つの娯楽として定着し、その他の遊戯と何も変わらないワン・オブ・ゼムと化したTVゲーム。
緩やかなストーリーがあり、それを自らが画面上のキャラクターに干渉することによって物語を紡いでいくという、インタラクティブな魅力を放っていたTVゲームも、もはや新鮮味を失い成熟という名の沈滞期を迎える事となった。
コンピュータ創生期に産まれたゲーム”スタートレック”、”ローグ”等は、その後”ウルティマ”や”ウィザードリィ”といった方向に進化し、パソコン用ゲームの発展に繋がっていった。
テニスゲーム、ブロック崩しといったゲームはアタリの”ポン”を経由して、”スペースインベーダー”で爆発し、アーケードゲームの興隆を築いていった。
アタリ社から始まった家庭用ゲーム機は、「アタリショック」と呼ばれる一時的断絶を余儀なくされたが、任天堂が”ファミリーコンピューター”を市場に投入し、以後の歴史を決定付けた。
今、3つのゲームの系統は、機器の高性能化によって、家庭用ゲーム機の流れ一本に徐々にまとまりつつある。
CDアクセスの高速化と回数の減少
現在の家庭用テレビゲーム機の欠点として、CDアクセス時間が長く、また回数も頻繁である、という事があげられる。その筆頭はPS1であるが、多少の差はあれPS2でもDCでもそのへんの事情はあまり変わりがない。
これがゲームからお手軽感を削ぎ、鈍重というイメージを与える一因となっている。携帯用ゲーム機では今も供給媒体をROMに頼っている事もあり、ローディング時間等でプレイヤーを待たせる事はほぼないと言っていい。
もちろんコンソール機とハンドヘルド機では、ゲームのスケールが違うのだから、今更ニンテンドー64のようにROMカートリッジに戻せ、などとアナクロなことは言わないが、CDアクセスの高速化と回数の減少は今後の必須課題となろう。
この問題の解決策としては、CD?ROMの読み込みスピードを速いドライブに変更していく事と、内部に保有するキャッシュメモリの量を増加させる事で対応できると思われる。
また、ソフトハウスもゲーム機の研究を十分に行ない、プレイヤーにストレスを溜めないようなデータの設置を研究すべきだろう。
今後は3D技術がテーマに
3D技術と聞いて、「何を今更」と思われるかも知れないが、これは単にポリゴン技術のことを指すのではない。立体映像や立体音響など、まだまだ手付かずの分野が広がっているじゃないか。特に立体映像である。従来のゲーム機では、赤青眼鏡や、高速液晶シャッター式眼鏡、あるいはヴァーチャルボーイのように覗き穴複眼式などが過去採用されてきた。しかし、どれも奥行きを表現することには成功しているものの、真の意味でキャラが眼前に飛び出す立体視を再現したものは皆無である。
まがりなりにも、ディズニーランド等が「キャプテンEO」などで偏光眼鏡を使って出来のよい立体視を再現しているのだから、ゲーム機への応用等も考えていくべきだと思うのだが。
ホームへ戻る
過去の特集リストへ行く