大した事のない特集、第九弾!!(00.09)
最早、笑われているのは長島ではない。
シドニーオリンピックの女子マラソンで、下馬評通り、日本の高橋尚子が金メダルを取った。
「軽自動車のボディに大型ダンプのエンジンを搭載した」と形容されるそのパワフルな走りは、完走してからも全く疲労した様子がなく、レース後のインタビューにも平気の平左で受け答えをしていた。選手選考でいの一番に選ばれた市橋は12位に終わった。選考レースで2着を取った実績があるとはいえ、現代、ハイスピード化の一途を辿る女子マラソンにおいて、平凡な記録しか持たない上、経験の少ない市橋を真っ先に代表に選んだ日本陸連の見識眼の無さは存分に嘲笑されていい。
それはいいとして、翌日の新聞では、当然日本女子初のオリンピック陸上競技金メダルが大々的に取り上げられる事と思っていた。…のだが、何紙かはどうやら違ったようだ。
その、何紙かのスポーツ新聞は、一面に巨人の優勝を持ってきたのだ。まだ、決めてなかったんだ。セリーグの優勝。
お膝元の読売新聞さえ高橋尚子の金メダルに一,二面を割いていたらしいが、報知はともかく、他のスポーツ紙が何故巨人優勝を一面に持ってきたのか、理由が分からない。
話題性としたら巨人優勝などという関東ローカルな事象より、全国的な高橋尚子の金メダルの方がよほど価値があると思うのだが。
今年の巨人は、ナベツネの一声によってオリンピック野球への選手派遣をボイコットし、巨人におもねったセ・リーグ球団も主力を派遣しなかった。また、日本テレビはオリンピック野球の予選(対蘭戦)放映権を取っておきながら中継を全くしないなどの露骨な嫌がらせ行為すら見せた。
それだけ綿密な妨害活動を実行したにもかかわらず、最近の巨人戦の視聴率は、オリンピックに惨敗で、優勝を決める年の放送としては史上最低であるとの声も聞く。
オリンピックにケツをまくったツケは相当に大きかったというわけだが、ナベツネは無理としても、日テレ社長の氏家あたりはそろそろ巨人戦というソフトの限界を感じて欲しいものだ。
そういえば、巨人の監督には長島の続投が決まったらしい。
長島個人には別に嫌悪感はないし、あのお笑い采配ぶりは巨人独走を止めるバラストとして大変有効なものだと思っている。しかし、ムカつくのが、長島を信奉する30代後半以上の巨人ファンである。
「長島は最高。」「やっぱり長島だ。」「長島は日本球界の宝ですよ。」あ〜うざい。30代前半以下くらいからは、長島の現役時代の活躍なんて殆ど知らないのだ。
20代後半で、やっと王の現役の最晩年を知るくらいである。
だから、長島の神通力なんて、自分たちの世代には無いに等しい。
端から見ている分には、只の間抜けなおっさんにしか見えない。自分の、物心ついてからの最初の長島に対する記憶は、史上初めて巨人を最下位に導いた無能な監督としての長島像でしかないのだ。
そんな長島に、神通力など感じる訳がないだろう。無論、現役時代の長島が凄い選手であった事を認めるのには吝かではない。真のスーパースターだったのだろう。しかし、最早長島引退から30年近く経とうとしている。
相撲だって今更「大鵬」「北ノ海」でもないだろう。
にも関わらず、昔の巨人ファン、長島ファンはひたすら「長島」「長島」と言い続ける。そういう点では、テリー伊藤、黒鉄ヒロシなどの長島に対するラブコールは、本当に鬱陶しく思える。
しかも、そういう感情を自分たちの世代の特有なものと感じているのではなく、あたかもプロ野球ファンに共通するコンセンサスのように語っているのがなんとも痛々しい。
「お笑い共産党」「お笑い北朝鮮」に続いて、いっそ「お笑い長島ファン」を作りたいくらいだ。今や、笑われているのは長島の珍行動というよりも、いつまで経ってもそれを愛玩し続ける長島ファンであるという事、それを彼らは自覚すべきだと思う。