第二回

 


 

 第二回のテーマの話は簡単です。「ザク、グフ系とドムに中間形態MSを作るな!!」と言うものです。

 一年戦争を舞台にしたガンダム作品の中で、ザク、グフ系MSとドムの間によく中間形態のMSが登場します。その傾向は最近の作品ほど強くなっており、例えばセガサターンで発売されたゲーム「ガンダム外伝」の中には、グフとドムの中間である「イフリート」なるMSが登場、またビデオ「08MS小隊」にはリックドム開発のために下半身をドムに換装した試験用ザクが登場しています。

 ファーストガンダムの中では先ずザクが現役兵器として頑張っており、その後ザクの陸戦強化型であるグフが登場します。しかし、連邦軍のMSガンダムがジオン軍の予想を遥かに上回る性能であることが確認されたため、打倒ガンダムを目的として全くの新型である重MSのドムが前線に投入されます。

 ファーストガンダムに後付けストーリーを作りたい制作者側としては、ザク、グフ系とドムの間に試作MSを作りたいという誘惑には逆らいがたいらしく、なおかつ、その性能とスタイルは両者の中間的な物になることが通例になりつつあります。今回は、「それをやめろっちゅーんじゃ」というお話です。

 皆さん御存知かと思われますが、ジオン公国には複数の兵器メーカーが存在し、お互いシェアを争っているという設定になっています。当時の設定資料集である「ガンダムセンチュリー」を読めば、ちゃんとそのことが載っています。

 代表的な会社を挙げますと、ザクの開発によって一躍兵器のトップメーカーとなったジオニック社、ホバークラフト技術に定評のあるツィマッド社、モビルアーマーの発案で知られるMIP社等です。

 ここまで話を進めるとうすうすお判りでしょうが、ザク、グフ系とドムではその開発会社が違います。前者の開発はもちろんジオニック社で、脚部に大型ホバーユニットを装備した後者は、ツィマッド社の開発となっています。両者はジオン国内において兵器のシェアを激しく争っており、全く協力する体制にはなっていなかったのです。これを身近な例で挙げますと、トヨタと日産が協力して自動車を開発する訳がないのと同じ事です。まさかカローラとサニーの間に中間形態が存在しよう筈がありません。中には、「ジオンは挙国一致の体制を取っていたから、シェアを争う軍需メーカーと言えども協力体制を取らされたのではないか。」と反論される方もいらっしゃるかも知れませんが、同様の事を戦時中の日本に置き換えますと、三菱重工と中島飛行機の関係に例えられると思います。が、両者の開発陣は独立しており、零式艦上戦闘機と紫電21型局地戦闘機の間で中間体の機種が生まれるような環境になかったことは明白です。

 ザク、グフ系とドムの中間体が存在しうる余地は、当時の資料を信じるならばほぼ0(ゼロ)でしょう。中間体というならば、ザク、グフ系とゲルググ系の間にこそ存在するのがふさわしいのです。(ゲルググはジオニック社開発ですから。)

 もちろん兵器の開発競争の途上で様々な試作機が生まれたでしょうから、新型機の登場は全然問題ないと考えます。しかし、今後新たにストーリーを作る制作者には、「以前の設定資料をよく読め!!」と言いたいです。
 

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