仕事の勤務シフトの関係上、月曜日が休日になったので、かねてより気になっていた場所を訪問する事にした。上野まで特急で上京し、常磐線の普通列車に乗り換えて、行くこと数駅。降り立つところは、南千住駅である。
下町の風情たっぷりの所で、すれ違う人々はまるで根本敬のイラストか、シェンムーの商店街に登場してくるような味のある方々ばかり(この表現、「ゲーム批評」だな)。遠景に見える高層マンションが、東京のベッドタウンである事を主張しているが、辺りの素朴な町並みを見る限り、ここが上野より8分の首都近郊であることは信じがたい気分である。出発前にネット上で調べた地図の記憶をたどり、隅田川に沿って道を歩く。しかし、程なく行き止まりにぶつかってしまった。辺りの掲示板、地図を探し出し、現在位置を確認する。どうやら方向が違う。隅田川は東から南に向かって大きく湾曲し、それまで川に沿っていた道は堤防にぶつかって無くなってしまった。
んー。90°体の向きを変えて、今度は南へ向かう。町並みはいよいよ素朴になり、根本敬度というかシェンムー度というか、そんな風情は増すばかりである。10月とはいえ、長袖のセーターでは日中の東京はまだまだ汗ばむ暖かさ、汗をハンカチで拭き拭き歩く。
隅田川を横切る橋に連なる、大きな通りにぶつかった。橋の名前は「白ひげ橋」と書かれている。自分が歩いてきた所が荒川区で、道を挟んで向こう側が台東区になるらしい。
そろそろ記憶もあやふやで、結構不安になりながらとりあえずその道を横切る。台東区に入った。相変わらずすれ違う人は人生の酸いも甘いも噛み分けてきたようなおじちゃん、おばちゃんばかりである。ここは一体どこやねん。
不安に苛まれながら、歩く道のりもダッチロール。途中で見つけた路上の地図で、どうやら道のりが間違ってなかった事を知る。途中見つけた区営図書館で溜まった便意を発散し、急ぎ件の目的地に向かう。ついに目的地発見!! かつて、こんな邪まな目的で、ここを訪れた人間が果たしているだろうか。(いや、いまい。)
自動ドアを通って中に入る。受け付けのおじさんに向かい、こちらの希望を伝える。担当者が昼食中で外に出ており、今は希望に沿えないと言う。あと30分、1時くらいになったら再び来て欲しい、と言われる。
仕方がないので、近くのコンビニでおにぎりやサンドイッチを購入して公園のベンチに座り、自分も昼食をとる。
時間が過ぎたので、再び目的地に向かう。「東京都人権啓発センター」。本日の目的地である・・・。
受付に向かい、もう一度お願いする。担当者とおぼしき人が鍵を持って出てくる。
「あ、視聴室はこっちです。」
言われて付いて行く。ビデオラックの前で、担当のおじさんと自分は立ち止まった。
「どのビデオご覧になるか、決めてます?」
担当さんの言葉に、自分は肯く。
「「旅立ちの夏」をお願いします・・・。」
ええ、ここがオチです、ここまで引っ張ってごめんなさい。「旅立ちの夏」、1998年香川県教育委員会製作の、人権啓発用ドラマ。もうばればれやと思いますけど、念のため。主演は尾羽智加子様で〜す。
人権啓発ドラマ、「旅立ちの夏」のあらすじ。
舞台は香川県。高校を卒業して一年目のOL原美華(智加子様)は、同和地区出身。
高校の後輩健一は、美華と同じ会社への就職を望むが、自分が母子家庭である事を気にして、マイナス評価がなされないかと就職試験に自信がない。諸岡先生(三波豊和)は、最近の就職面接では個人のプライバシーに立ち入った質問をしないように定められているので、安心するようにと健一とその母(山口果林)を諭す。
また、諸岡先生は二人を安心させるために、先輩である美華を呼び、面接試験の実態を話させる。
しかし、美華は一年前の面接を思い返した時、専務から家庭の事情を根掘り葉掘り聞かれた事を思い出し、健一親子には、そういう質問が出ても答えを拒否しなければならない、とのアドバイスを行う。そのうち、美華の会社では、専務が社員の身辺調査を行っているとの疑惑が発生し・・・。
てな感じで話は進展する。しっかし、香川県が舞台やのに関西弁を話す人間が一人もおらんのは奇異に感じた。まあ、最初から香川での放送のみを考えたものではなく、他の場所での人権教材に流用することを前提にしているからだろう。
しかし、全編、智加子様ほとんどOL姿。童顔で年齢相応の役が回ってこないと言われる智加子様ですが、OL姿もぜんぜん問題なしじゃないですか。美麗、美麗。くぅ〜、たまりませーん。
このドラマの制作年は98年で智加子様大学一年生ですが、美華も高卒一年目のOLという設定で、実年齢と全く同じ役柄。このビデオ見る限り社会人のお姿でもバッチリ決まっていると思います。
ドラマの開始から終了まで、智加子様のOL姿が存分に堪能できます。現在のスレンダーな智加子様も宜しいのですが、この頃のぽっちゃりした智加子様も素晴らしい。また、智加子様が主役のドラマを見たのも久しぶり。しっかりした演技も堪能できます。
いや〜、人権教育のビデオ、こんな不純な動機で見てる奴も珍しいだろうが、智加子様ファンには、正直言って堪えられない程素晴らしいビデオだよ〜。
同僚の先輩に、なんと斎藤ゆう子がキャスティングされているぅ!!! 斎藤ゆう子なんて、SEGAのSG1000−2の宣伝チラシ以来、まともに見たの十五年ぶりくらい・・・。
あと、課長役に小倉一郎さん。これは「夏は秘密がいっぱい!」の時のお父さん役ですな。
ちなみに、このビデオ、貸し出しも可能。最長一週間なので、自分は今回は返却しに行く機会がなく、断念した。しかし、日取りに都合がついたら絶対今度は借りに行こうと思う。
追記。自分の同和地区人権問題に対するスタンスは、えー、判断保留。この問題は、プチ・パレスチナとも呼ぶべきややこしく、根が深い問題だと思うから。一朝一夕には解決しないでしょう。もちろん、問題解決に尽力されてる方の努力を認めるには吝かでないけれど。