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Cathexis
Last Update:05/06(金) 00:25

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リーダーDenny Zeitlin
リーダー楽器ピアノ
形態トリオ
場所海外
レーベルSony music
録音年代60年代
メンバーCecil McBee(b) Frederick Waits(ds)
曲目@Repeat AI-Thou BStonehenge CSoon DNica's Tempo ECathexis F'Round Midnight GLittle Children Don't Go Near That House HBlue Phoenix
解説者なおき
★購入・試聴はこちら★cathexis
写真・画像など1115306727.jpg


 ▼Comment
Denny Zeitlinは本業である精神科医の仕事をこなす傍ら、プロのJazzピアニストとしての活動も続けてきたという、かなり異色の経歴を持った人物。しかも双方の仕事ともに一流の域に達していたと言うのだから更に驚かされます。今回は彼ののデビュー盤、”CATHEXIS”を取り上げてみたいと思います。
スピード感に満ちた硬質で歯切れの良いタッチと、ブロックコードを多用した厚みのある華やかなサウンドが魅力のZeitlin。しかし音の構築は幾何学的且つ繊細緻密で、演奏からは彼の豊かな知性と思慮深さが読み取れます。ハーモニーやフレーズのセンスはあまりにも現代的であり、1964年の作品ではありますが、現在聴いても古さを全く感じさせません。アルバムタイトルに”CATHEXIS”という精神医学の専門用語を用いていることからも分かるように、音楽に於いても精神科医であるという強烈なアイデンティティに基づく世界構築が成されている事は間違い無さそうです。フロイトの精神分析などでよく用いられるような「意識・無意識」「夢」というような言葉から連想されるようなイメージが、彼の演奏の後ろに見えてくるように感じられます。
わずか2小節のモチーフを徐々に肉付けしながら展開し、4×4=16回繰り返すことで起承転結を表現している@のテーマなどは非常によく計算し尽くされていて、彼のデビュー盤のオープニングを飾るに相応しい印象的な作品です。明らかにコルトレーンを意識したと思われるE。”Giant steps”や”Moment’s notice”を連想させるコルトレーンチェンジの連続を、これほど厭味なくこなしてしまうところに、彼の非凡な才能の一部が垣間見られます。作品一枚を通して、従来の安定した華やかなトーンだけでなく、深遠な静寂感やフリーなアプローチによる不安定感など、様々な表情を覗くことができ、デビュー盤ながらDenny Zeitlinというピアニストの魅力を最大限に楽しむことができる一枚といえるでしょう。
現在入手できるのは2枚目のアルバム”Carnival”とセットになったもの(amazon参照)のようですが、どちらも非常に内容が良く入手して損はないと思われます。

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Miniりすと v4.01