皆さんには「自分の音楽の方向性を決定付けたこの一枚!」みたいなアルバムはありますか?僕にとってのそんな一枚が今回のテーマ、佐藤竹善の“Corner stones”です。中学3年の時にたまたまFMラジオの番組内で特集されていたこのアルバムにハマったことが、JAZZ・Fusionの世界に足を踏み出す自分の中での大きなきっかけになったのだと思います。 コアなファンの間で絶大な人気を誇る実力派バンドSing like talkingのヴォーカル、佐藤竹善のソロプロジェクトとして発売されたこのアルバム。70〜80年代のAOR系のカバーアルバムというのがひとつのテーマなのですが、選曲・アレンジ・参加ミュージシャン、全てに渡ってかなりJAZZ色の強い構成となっています。特に一線級のJAZZミュージシャンである土岐英史(as)と大石学(p)の全面的な参加により、バッキングや間奏のソロ内容が単なる歌モノのサポートという枠を越え、かなり内容の濃い通好みのものになっています。特にGのソプラノとピアノのソロは尺が長く構成もしっかりしていて聴き応え十分。他にもチャカ・カーンのA、イーグルスのI、ナット・キング・コールのJなどなど往年の名曲を、単なるカバーでなく、きっちり自分の世界として表現しきっているところに、竹善氏の音楽に対する深い愛情と造詣を感じます。ただ単に歌が上手いという次元を超えた、声と言葉の裏側にある説得力と重み、一度聴けば分かって頂ける思います。 ジャケットも「白いBud Powell」と謳われるウェストコースト系の名ピアニスト、Croud Williamsonのアルバムを模したものになっていてなかなか高ポイント。 とにかく品が良くて質の高い、ちょっと大人向けの音楽です。最近のものだと平井堅のKen’s Barなんかとコンセプトが似ているんじゃないでしょうか。「JAZZには興味があるけど敷居が高そうでちょっと・・・」と思っている方への入門編としては最適な一枚かもしれません。
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