以前にもテーマで取り上げた、「特定レーベル追求」シリーズ。今回はその第2弾として、JAZZ界の文庫本とでも言うべきレーベル、NAXOSについて書いてみたいと思います。 元々オーストラリアのクラシック廉価盤レーベルとして出発したNAXOSは、廉価版とは思えないほどのクウォリティの高さに裏打ちされ急成長を遂げました。98年頃からはJAZZの部門にもフィールドを広げ、現在では国内の大手レコード店などに於いて比較的馴染みのある存在となってきています。1000円前後の低価格ながら、 @比較的当たりの確率が高い(勿論、それなりの割合でハズレもあります…) A有能ながら未だ無名の新人や、実力がありながらも埋もれているプレイヤーなどを発掘するセンスが良い(Ex:Joshua RedmanバンドでブレイクしたSam Yahelなど) B時々大物がひょこっと参加していることがある(Ex:思わぬところにマイケル・ブレッカーやケニーバロンなど) といった感じで値段の割にはお得感が高く、なかなか楽しませてくれる作品構成になっています。 そんなNAXOSの中でもかなり注目度の高いの若手テナーが、今回ご紹介するDavid Sillsです。演奏自体は控えめでありながら、Stan Getz系で奥行きと深みのある音色に加えて、しっかりと練られた思慮深くセンスの良いフレージングを披露しており、能力の高さを感じさせます。ある曲ではHank Mobleyの様な小粋でソツのないプレイを聴かせたかと思えば、別の曲ではモーダルで知的な側面も覗かせる。その守備範囲の広さも大きな魅力です。 サイドに敢えてギターを入れたことにより、良い意味でリズム隊の中にルーズさが生じていて、演奏に広がりが出ていると言えますし、またそこにSillsの音色が良く乗っています。ピアノで起用された中堅どころ、Alan Broadbent(p)も「堅実、且つ聴かせる」といったプレイで聴き手を引き込んでいきます。 1000円でこれだけ質が高ければ大満足の一枚。Sillsの今後、並びにNAXOSレーベルについては、まだまだ期待が出来そうです。双方まだまだ未チェックの方は、是非是非お試しくださいませ。
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