全く以って無名なピアノトリオのアルバムなのですが、思わぬ拾い物。これも数年前に某レコード店でかかっていて、あまりの内容の良さに我慢できず衝動買いをしてしまった一枚です。僕と前後して、2人程が「思わず衝動買い」と言った感じで買っていったのが非常に印象的でした。 この作品、メンバー各自のテクニックもかなりハイレベルなのですが、注目すべきなのはトリオとして見たときの「三角形」完成度の高さでしょう。通常のピアノトリオだと、つい主役級のピアノに目(耳)が行きがちですが、このアルバムではピアノ、ベース、ドラムの3人に満遍なく神経が行き届き、「ピアノトリオ」としてのひとかたまりで捉えることが出来ます。 あくまで個人的な見解になりますが、この作品は、根底にラテンの血を感じさせる選曲、ピアノのブライトで音の立った響きや歯切れの良いフレーレージング、エレキベースの存在感など、様々な面でMichel Petrucciani最晩年の傑作、“Live at Blue Note Tokyo”を彷彿とさせる作りとなっています。Petrucciani系のピアノがお好きな方にはかなりオススメです。 またバッキング・ソロを通して見事に歌い上げて、存在感を主張しまくっているエレキベースの技量にも要注目!これほど流暢でメロディアスなエレベソロは、他でもなかなか聴けないでしょう。ピアノとベースが強烈に個性を主張し合い、渋いドラムが全体を纏める。かなり珍しいタイプのトリオながら、まとまりがあって面白い構成になっています。 演奏はとにかく全力疾走。ラストまで一気に駆け抜ける感じで、アルバム1枚通して聴いても飽きが来ないのが素晴らしい!現在はかなり入手困難かもしれませんが、興味が湧いた方には是非是非入手して頂きたい作品です。
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