最近は日本のポップスの棚に手を出すことも少なくなってまった僕ですが、畠山美由紀の歌を聴いて、久しぶりに「日本のポップスもまだまだ捨てたもんじゃないな」と感じました。今回はちょっと番外編で、この畠山美由紀について書いてみようと思います。 この作品は、90年代にPort of notes、Double famousなどのVo.として活躍してしてきた彼女が、2002年に発表した待望のソロデビューアルバムです。中音域の倍音が非常に綺麗に鳴っている点、高音域の抜けと伸びの良さなど、とにかくその歌声の素晴らしさは、一度聴いたら耳から離れない程。柔らかで空間的な広がりのあるサウンドと、よく吟味された言葉の美しさが混じり合って作られる独特の世界観は一聴の価値ありです。 僕が彼女の作品から最も強く感じるのは、その「成熟度」の高さでしょう。バックボーンに感じさせるのはボサ・ノヴァ、ラテン、JAZZ。そこにいかにも日本的な歌謡曲のテイストが少々隠し味で入っています。様々な音楽の要素をきっちりと理解し取り込み、自分のスタイルとして昇華している点は高く評価できると思います。また、彼女の素晴らしい歌声や歌い回しが、詩の世界に鮮やかな色彩を加えていて、言葉のひとつひとつからその情景が浮かんでくるようです。「歌」というものが何だったのか、彼女の作品を聴くことで再認識できるでしょう。薄っぺらい言葉の羅列が多く、歌詞というものの存在意義が失われつつある現在の日本の音楽シーンにおいては、こういった本物の歌を歌える存在は非常に貴重であると思います。ある程度年齢がいった方々、JAZZ等のジャンルで耳の肥えたリスナーの方々などが本当の意味で楽しめる、きっちりと中味のある大人の為のポップスといったところでしょうか。 幅広いジャンルのファンの方に受け入れて頂ける、素晴らしいアルバムだと思います。お店などで見かけたら、是非是非聴いてみてください!!
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