1962年、名作“Circle waltz”を世に送り出し、ポストBill Evansとしてその名を世に知らしめたDon Friedmanですが、その後の動向があまり伝わってこないことから、日本では比較的通好みのピアニストという位置付けで過小評価されている感は否めません。しかしながら、その認識が明らかに間違いであったということを、近年発表されている彼の作品群は見事に証明してくれています。今回はそんな作品群の中から、最新の録音である“Waltz for Debby”を取り上げてみたいと思います。 上にも記したように、かつてはEvans派と呼ばれ、淡々とリリカルに語りかけるような演奏が特徴だったFriedman。年齢を重ねた彼の音楽は、その耽美的な側面に、圧倒的なダイナミクスレンジとバップ的なテイストが追加され、更に豊かな表現力を持つものになったという印象を受けます。非常に瑞々しく美しい音色は、とても68歳の演奏とは思えないほど。驚かされました。むしろ“Circle waltz”の頃の方が枯れた味わいがあるのではないでしょうか? そこはかとない哀愁と流麗な美しさが魅力のオリジナル@。流れるように展開してゆくピアノソロの構成力は本当に見事です。Evansの代表曲BやChick CoreaのCなども、きっちり「現在のFriedman流」に料理してくれていますし、定評のあるバラードの歌い方(特にI)も素晴らしい。 ここ数年はかなり早いピッチで作品をリリースしているFriedman。まだまだ歴史に残るような名盤を作り上げてくれそうな予感充分です!更なる進化を続けるベテランピアニストの今後にご注目ください。
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