早朝のニューヨーク。朝まで続いたギグを終えて、ベースを背負いながら家路につくベーシスト。ジャケットの写真が何ともいえなく味のある一枚です。(僕の記憶が確かなら、多分この写真はクロウ自身だったはず。) 演奏もジャケットと同様、非常に渋い!クロウは50年代にスタン・ゲッツと競演していたベーシストで、名盤Stan Getz Playsなどでその演奏を聴くことが出来ます。このアルバムのテナーもどこかゲッツ風で、彼の経歴を知っている人は思わずにやりとしてしまうことでしょう。 JAZZが最も動いていた時代を実際に体験し、数々の巨人たちとの交流もあったクロウ。そんな彼の記憶を、ミュージシャンたちのエピソードを中心にまとめた回想録、「さよならバードランド」(村上春樹 訳/新潮社)は、JAZZ好きにはたまらない一冊です。このアルバム自体が、本と連動して製作された企画モノではありますが、内容はそんな商業的な匂いを全く感じさせない正統派です。演奏に派手さはありませんが、どのプレイヤーもいぶし銀という言葉がぴったりで、安定感のある落ち着いた演奏を展開しています。 BGMとしてかかっていても心地良いし、真剣に聴いても聴き応えがある、僕にとっては理想的なアルバムです。美味しいお酒とともに、じっくりご賞味くださいませ。。
|
|