美ら通信 第8号 2002年2月3日発行
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 美ら日記(9) 
 『エコネット・美』 第2期目にあたって
 お元気ですか。『美ら通信』おくれて申し訳ありませんでした。この通信が着くころには、名護市長選も終わっていることと思います。
 新時代を感じざるをえないテロと報復戦争。国内的には構造改革と不況。そのいずれもが、この沖縄に確実に押しよせてきています。また別の厳しさが、この名護のまちにも振りかかってきました。本当に自分たちのくらしの足元から見つめなおす時だと実感しています。
 沖縄は桜がまっさかり。ピンクの濃い花びらが道端のあちこちに眼につくようになってきました。葉を全部おとし、赤い房の実をつけたイイギリと桜の競演、まさにチャンプルーそのものの沖縄です。

 エコネット・美も3年8ヶ月がたち、今年からは、第2期目をつくり出していくことになりました。
 第1期目は、施設、階段、設備面での、いわばハード建設期でした。そこに流した汗は忘れるに忘れられないものであり、第2期目を支える源です。あっという間でした。しかし考えてみればよくぞあれほどと思うあの手と汗がなければ、エコネット・美はやはりありえなかったと思っています。山の道も、今ではすっかりまわりとなじみ、枯れ葉と強い芽でまるでもとからあったかのような顔をしています。
 今年を第2期目であると区切りたいのは、なんといってもエコネット・美のソフト面の充実をなしたいと思うからです。そのソフト面の充実の柱は次のものです。

(1)ヤンバル東海岸のくらしと自然の調査とリーフレット化〔5年計画〕
 沖縄と本土の相互企画の場としてのエコネット・美の活動は、自然をとおして、そして自然の中に残る「ヤンバルのくらし」の記録づくりです。ヤンバルの自然をヤンバルのくらしの歴史のなかに投げかえして、それをコツコツと記録し、そこからこれからのヤンバル型エコツアーのエネルギーをくみ取ろうとするものです。しかも、知識型だけにとどめないで、集めた情報をさまざまな実践の中にいかしていこうということです。ネット上でもそれらを公開し、いろんな分野に活かしてもらう。その多様な基礎資料づくりと言っていいと思います。

(2)エコネット・美の可能性を単に沖縄側からとらえるのではなく、本土側からの企画を実践する場として使ってもらおうということ。
 いくつかのテーマで、ヌーファのあの場を使ってさまざまな形で実践していくことを、年に数回取り入れてみる。子供たちの企画、母親の企画、歌や演劇などの企画、テーマ別シンポジウムなどの企画などなどを沖縄側と本土側の双方から出していく。その中からこの地域の可能性を引き出してみたいと思っています。多様性のたのしいるつぼとしての企画を。

 「基地にたよらず命の自立」というエコネット・美のかかげたテーマを、そのソフト面から工夫、充実させる期として今年をとらえてみようと思うのですが。それは民衆による自らの内なる構造改革でもあるのではないか。失敗をおそれず、若い人たちの芽をおさえることなく、とにかく楽しくのびのびと実践していきたいものです。こぶしをつきあげたりせずに、自分たちを変えてゆく楽しさに出会う。そのためにも、私たちはやはり<基地ノー>と永く永く呟かざるをえません。自分の内側にこだまする形での<基地ノー>をどう形づくっていくか。そのこだまは、豊かな想像力の海路を通して、本土側にも、そしてその外側にも響きあうものじゃないかと思うのです。楽しいことじゃないですか。ナンクルナインドー!(なんとかなるよ。)と歩いていきます。
                      2002年1月24日
                      エコネット・美 第2期目代表 輿石 正


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新年のごあいさつ
  新年、あけましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。
 おかげさまで、大勢のお客さまと地域の文化を語り、ヌーファの海を楽しんでもらいました。
 毎年増え続けていた本土からの修学旅行生や団体、個人のお客様が、9月11日のアメリカでの同時多発テロ事件で、だいぶ減ってしまいました。基地と隣り合わせに生活している私たち沖縄の人にとりましては、「なぜ?」「どうして?」と思うばかりで、どうすることもできませんでした。基地と同居して初めて示された基地の重圧です。今回のことでは、県民の一人一人が基地の被害を真正面から考えさせられたことではなかったでしょうか。失ったお客さまをとり戻していくのは大変なことだと思います。しかし、ヤンバルの文化を守り、語り継いでいくためにも、このような時だからこそ頑張っていかなければと思っておりますので、今後ともよりいっそうのごひいき下さいますよう、心よりお願いいたしまして、新年のあいさつとさせていただきます。

2002年1月1日
具志堅 勇

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沖縄の春
 美ら会員のみなさまお元気でしょうか。エコネット・美も立ち上げから3年半が過ぎました。ふり返ってみると、ヘリ基地問題から始まり、サミットがあり、昨年にはテロ事件があり、沖縄にとっても国際的にも波乱に満ちたここ数年であったと思います。
 宇宙から見ると美しいというこの地球に生きる人の世は、これからどうなるのでしょうかね?国際的なできごとが、こんなイナカの小さな集落にもおよびました。今年からはチュラの経営も少し良くなる予定であったのですが、テロ事件の影響でお客さんが減り、厳しい状況になりました。でもきっと、みんなで頑張れば大丈夫さぁと思っています。
 沖縄ではこの前から狩猟も解禁になり、私にとっては山に入ることが多くなりました。チュラに参加するようになって、以前よりも地元の山や海の生き物をこまめに見るようになりました。この前イノシシ猟で山に行くと、まだシイの実が少し落ちていて、ピンクのミヤマノボタン、白いサザンカ、黄色のフキ、名を知らない小さな白い花も咲いていて、また実ものは赤い万両、だいだい色の千両、瑠璃色のるり実、アクチャーやアディクの実もついていました。ちょうどこの時期は涼しくて、山を歩くのにはとてもいい気候です。日中太陽がでてポカポカすると、山ガジャン(山の蚊)も出てきます。開けた谷間で足を止めのんびり座っているといろいろ見えてきますよ。シジュウカラ、コゲラ、メジロなど、小鳥たちも近づいてきます。シジュウカラは、私の周囲1メートルくらいのところをグルグルと枝渡りをして、私を珍しそうに見ていました。コゲラも3羽飛んできて、コンコンと木をつつく音がかん高く山に響いていました。とても気持ちが良かったですよ。いつの日か、ヌーファへとつづく道なき道をみなさんと一緒に歩けるといいですね。

2002年1月1日
稲嶺 盛良

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「山原のくらしと自然ものがたり」探しはじめます!
 エコネット・美のガイドをはじめて2年と9ヶ月。太平洋に面した嘉陽に育って、これまで自然との関わりといえばもっぱら海であった私が、近頃になってようやく山の魅力に気づきはじめました。いやいや、今ではすっかり山の魅力のとりこになってしまっています。
海に潜りながら、流れを感じ、魚たちと対話をして、時に励まされたり、時に生きるエネルギーをもらったりするように、寒いこの時期、海のかわりに山を歩きながら、海とはまた違ったパワーを今度は山からもらうことができたのです。これまでこんなに山道を歩いてきたのに、どうして今さらこんな気持ちになったのでしょう。決して海へ向かう道でしかなかったというわけではないはず。自然のなかで歳を重ねたからなのでしょうかね。
 木々をすり抜けていく風を感じ、葉の揺れる音や鳥や虫たちの唄を聴いて、なんとも心にすぅっと入ってくる自然の偉大なパワー。気がとおくなるほど大昔から、ただじっと山原の人々のくらしを見つめてきた木。ゆっくりと歩いていると、そんな木々たちがたんたんと山原の昔話を物語ってくれるような気がするのです。わずか数十年しか生きることのできない私たちにも、そこに凛と今を生きる木々のもつストーリーを想像することはできるのではないでしょうか。せめて想像くらいはさせてもらってもいいじゃないですか。魚たちと話してきたように一つ一つの木と対話をして、この壮大なロングストーリーをこれから少しずつひも解いていきたいと思っています。“人のくらしとの関わり”というところに重きをおいて探っていきたいと思っています。
 気がつけば、幸運にも私のまわりには山の大先生たちがたくさんいました。山原の山、森と一緒に生きてきたこうした人たちの力を借りて、さっそくこれから「山原のくらしと自然ものがたり」探しがはじまります。まずは植物から。さまざまなかたちで植物と関わりをもってきた人たちへの聞き取り調査からのスタートです。「方言の名前のついた植物は、昔から山原の人々のくらしとなんらかのつながりをもってきた」ということをヒントに、ヌーファの山をベースにして歩いていきます。この通信のなかでも、次号から毎回コラムとして一つずつ紹介していきますので、どうぞお楽しみに。ホームページの中にもコーナーを設ける予定です。そしていずれは、植物から今度はそれとつながっている、生き物、土、川、そして海へと広げていけたらいいなぁと思っています。あるいは山と海を行ったり来たりできるとおもしろいかもしれませんね。
 実はもうはじめるだいぶ前から一人でドキドキ、ワクワクしていて、きのうもヌーファのマングースにあきれた顔で見られてしまいました。いったいどんな物語がまっているのでしょうか。ライフワークとして気長に続けていくためにも、じっくりと腰をすえて、夢をもって取り組んでいきたいと思っています。みなさんからも遠方からじんぶんをわけていただければと思います。よろしくお願いします。

2002年2月7日
(今日で24歳になった)安奈

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その後の名護(一)
 9208票。2月3日の名護市長選挙での得票差。名護市長選はじまって以来の票差をもって、基地建設容認派の岸本建男現市長が当選した。悲しむこともできない沖縄名護市民の判断がくだされた。
 岸本氏は、当選後の会見でこう言いきった。「北部(沖縄の)がどう生き残るか市民が考えた結果」と。地元新聞は「基地より経済重視」と見出しをつけて、この大差の波紋を分析しはじめている。今後もさまざまな角度と深度から、この大差の分析が行われるだろう。例えば、不在者投票の異常さ(18.8%)。土建業を中心とした猛烈な抱きこみ選挙。宮城康博陣営の出馬の遅れ、投票率の低下(前回より4ポイント低い77.66%)。「経済振興策」と「基地反対」のすれちがい2重構造選挙など。
 しかし、「北部がどう生き残るか市民が考えた結果」という岸本氏の当選会見の弁をもっと本気で読み込む必要がある、と私は思う。「北部がどう生き残るか」。おそらくこのことは岸本氏の到達したひとつの結論である。かつて<逆格差論>をとなえ、「フロー」ではなく「ストック」のなかにこそ新しい豊かさを求めた人らしい一つの結論である。この一連の動きを「変節」ととらえる考え方を私はとらない。<逆格差論>も<基地つき振興資金誘導>も、ともに北部がどう生き残るかという同根の表札にすぎない。問題は、その表札の文字にあるのではなく、それが「北部を愛する」という擬態の上に成り立っていることにある。「擬態」とはどういうことをさしているのか。

 沖縄に移住してきて16年が経つ。私のなかにずうっとあった妙なズレを今回の選挙で感じた。「政治」ということが生活のすみずみまでしみわたり、選挙によって一気に吹きだすこの構造は本土の田舎にも見えるものだ。しかし、その政治的課題の根幹がちがっている。沖縄の政治のことごとくは、「米軍基地」とからんでいる。しかも米軍基地がらみの振興資金がぺたんとくっついている。いわば、政治と経済がパックになって沖縄の生活の末端までくいこんでいる。国家防衛という政府専権事項が生活とむき出しの形で対面している。岸本氏が言う「北部がどう生き残るか」というのは、まさに「国家防衛」という市民レベルでは手の出しにくい構図の中で、それにからめられた市民はどう生き残るかということであった。まさに「現実的選択」としての基地移設容認であった。トカゲのシッポの生き残りとして、7項目条件つきの基地移設容認であった。“米軍基地はない方がいい。しかし現にあるものをどのように縮小してゆくか。その第一歩としての移設容認。”それが岸本氏の「現実的選択」の根幹である、と。果たしてそうなのか。
 岸本市長と比嘉鉄也元市長がともに語ることばは、「とりのこされてきた北部の振興」であった。北部に生まれ、北部にくらしてきた人間がいだいてきた悲哀をなんとか克服すること、といってもいい。北部を愛するが故の<苦汁の選択>という共通のことばが、「現実的選択」の本当の姿である、と。「強いられた選択」といっていい。本来の自分の政治主張とはちがう所で選択をせまられた悲哀といってもいい。果たしてそうなのか。
 「強いられた哀しい選択」というポーズのうしろに、現実の行政の長としてのサボタージュがあることを見抜いているのは、何も本土政府だけではない。名護市の財源の火の車の足下を見て、辺野古沖移設をひつこくせまる本土政府。日米軍事協調のなかで基地移設をなんとしても果たしたい本土政府の足下を見て、振興資金をかちとろうとする岸本市政。こと2つのかけひきこそが政治的なネゴシエーションの骨格であることと見せつけられてきたのは、なにも今回が初めてではない。少なくとも本土復帰後30年の沖縄の歴史のなかで問われなければならないのではないか。「擬態」の分析が求められている。
2002年2月6日
輿石 正

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事務局だより
 エコネット・美の事務所が移転しました。プレハブのこれまでの事務所では、雨漏りとネズミに悩まされ、パソコンがいつやられるかとても心配でした。フク木に囲まれた東海岸がベストなのですが、借りられる所もなく、美らの経済的な事情もあって、輿石の経営する名護高等予備校の4Fに移転しました。お近くにお越しの折にはどうぞお立ち寄りください。また、もちろんこれまでどおり活動のフィールドは東海岸です。
 この間、電話、FAX、メールなどスムーズにゆかなかったことがあったのではないでしょうか。申し訳ありませんでした。電話とFAXは、今までと同じ番号でOKです。また、新しい番号は次のとおりです。どちらでも結構です。

移転先:〒905-0017 沖縄県名護市大中1-18-35
TEL:0980-53-4518
FAX:0980-52-4417

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