美ら通信 第6号 2000年11月15日発行
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 美ら日記(7)  
 風のように通り過ぎたサミット。いくつもの対抗サミットに参加し、企画した私にとっても、腹の底に何も残さぬ巨額のバブルイベント「沖縄サミット」。それは、ミレニアム日本の最後の象徴的姿として歴史のなかに残ることだろう。このなんとも言えぬむなしさの層は、何も日本の政治家をつつむものだけではなく、「先進国日本」に住む私たちの生き方の一端を確実につつんでいる。
サミット後、二つの台風が沖縄を襲った。荒々しく何かをぬぐい去るように通りぬけていった後、沖縄山原東海岸の海は、久しぶりの穏やかな姿をさらけ出している。ヌーファの里では、昼は壁のようなセミの声。夕方は大コウモリの奇声とすまし顔のホタルの光。去年をはるかに上回るお客さんの数。なにかしらあせりとイラ立ちを感じている私。アダン林の間から見えるおだやかな海に、かくしようもなく見すかされているのが手にとるようにわかる。海に仰向けになって寝て「われは海の子」を口ずさむ。コッケイさのなかに子供じみた意地がそれでも必死に、「石の上にも三年」と歯をくいしばっている。
 『けーし風』最新号に「岸本建男批判序説(二)」を書いた。(コ)

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おばあ軍団・参上!
 ミサコおばぁー、ユキおばぁー、ハッチャンおばぁー。嘉陽の3人のおばぁーが『じんぶん学校』の昼食作りを手伝ってくれることになった。ジューシー、ミミガー、トーフ、オカラの天ぷら。おばぁーの味がついにヌーファの里に炸裂。待ちに待った真打ちの登場であります。朝からソワソワ。食材のチェックの際も普段と違う目配り。いざヌーファに着くとそれは大変。ことばもいつにも増して荒れ、「ヒジキ水にもどせ」、「火が強すぎる」、「大豆の挽き方が悪い」、「包丁が切れない」あげくは「ナー、ナー、ナー、なんも役に立たんサー!」と。緊張感が怒りの表現となってとんでくるのであります。こういう時は逃げるが勝ち。さっさと海に出る。お客さんが来るとおばぁーの緊張感はピーク。三角の眼でにらみつけられる。お客さんの「写真いっしょに撮って!」との声に品をつくり、ちゃっかりハイポーズ。やってられないヨー。「うまい!」のお客さんの声に、三角の眼はだらしないほどのだ円のおめめ。帰りぎわ、お客さんが「おいしいごはん、どうもありがとう!」と言ったら、眼をウルウルさせて…。お客さんも、我々スタッフなど眼もくれずに「おばぁー、おばぁー」と。悲しいじゃありませんか。オーイ、たまにはこっちにもやさしいことばをかけてくれー。風呂の火を黙々と焚いていたのはおばぁーじゃないんだゾー。引かれ者の小歌、第1弾でした、ハイ。


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まーんかい日本 沖縄の針路33 基地たらい回し対談 下
一九九九年一二月二十一日 琉球新報(朝刊)より

 普天間飛行場の移設先は辺野古に決まるのか?基地たらい回しに反対する名護市在住の真志喜トミさん、輿石正さんにキビシク語りあってもらった。二人は名護東海岸の自然・文化を紹介するエコ会社「エコネット・美」の創立メンバー。ともに地域で笑い、悲しみ、けんかしながら地域づくりの行動をしている。

真志喜トミ:コシイシさんなんか、今度の名護市民運動のかなり早くから、「自立の地域(シマ)おこし」を言ってたよネ。「国際都市形成構想」批判とかなんとか言ってて、私なんかイミくじ(意味)わからんて感じだった。

輿石正:沖縄の補助金体質、もらえるものはもらっとけって感覚、結構沖縄人(ウチナーンチュ)の気質として定着してる気がする。いま「振興策」と言われてるのも、本土政府からみれば、沖縄問題は金で解決できるっていう自信の表れなんだろうネ。

トミ 五十年にもなる基地押しつけと、そのみかえりの補助金はやっぱり強烈ヨ。けど「命(ぬち)どぅ宝」という思いはウチナーンチュの心の底にはある。

逆格差論

正:理想としてはあると思う。今の名護市長が若いころ、一九七三年、名護市は街づくりの「基本構想」をつくったんだよ。その中に有名な(逆格差論〉というのがある。

トミ:ハー?それ何ネ。

正:〈逆格差論〉の中身は、これからの街づくりの基本として、物的豊かさを豊かさの指標とするんじゃなく、経済的な格差のある沖縄山原の心の豊かさ、くらしと知恵の豊かさこそがむしろ街づくりのエネルギーとなる、というものなんだ。だから経済的格差を逆手にとって、その格差の中にはぐくまれてきた心の豊かさに立脚した街づくりを、と提唱した。

トミ:・・・。

正:今の名護市長の岸本さんは、この基本構想に深くかかわった人なんだ。しかし、市長は、「あれは理想であって・・・」と言っている。しかもそこににじり寄る努力をつみ重ねるという意味での「理想」でもない。たてまつり、封印してしまう「理想」なんだ。額縁に入った「理想」・・・。汗が流れにくい。

トミ:なるほど。でもね、なんていうか、その逆なんとかというのは、内地のにおいがする。

正:んー・・・。

山と海のつながり

トミ:私が聞きたかったのは、私もそのメンバーのひとりだけど、「エコネット・美(ちゅら)」へのコシイシさんのかかわり方と「自立の地域(シマ)おこし」の関係みたいなものなわけサ。

正:「美(ちゅら)」へのかかわりと言っても、山での土方作業。ただそれが楽しいワケ。

トミ:ナンギでしょう?

正:ナンギは確かにナンギだけど、どんどん自分の体が元気になるわけ。「自立」とか「地域(シマ)おこし」ということばがどんどん小さくなって、山と海とのつながりが体にしみこんでくる。

トミ:めずらしいさ、美(ちゅら)のメンバーみんな楽しそうなんだよネ。私の「たらいまわし」と似てるかも。私は、あれやるとき、途中から恥ずかしさもなんもなくなって、もう自分の世界でとにかく言いたいように動きたいように動いちゃってるわけサ。あとから写真なんか見るとものすごく恥ずかしい。

比べない豊かさ

正:山にけもの道みたいな道を作った時は何か自然の一部でも壊したかナって気がするわけサ。だけど一ヶ月、二ヶ月とすぎると雨や風、落ち葉、動物たちによって山はもとの形にもどろうとするんだ。どんどん自然の中に受け入れられていく。それを見るのはなんとも言えん。・・・ひつこいようだけどさっきの〈逆格差論〉、あれ内地のにおいがするって言ったさネ。そこんとこもう少し聞きたい。

トミ:〈逆格差論〉という言葉ってカッコいい。そういう言葉って七十年ごろは流行(はや)ってたかもしれないけど、沖縄の人のことばじゃない気がするわけ。

正:どうして。

トミ:だって、〈逆格差〉て言う人は内地の生活をある程度した人で、だからその逆が見えるって、そういう感じでしょう。沖縄の人、そんなに両方を体験してしてないじゃない。だから〈逆格差〉なんて言われても、いったいその〈逆〉のなかにどんな豊かさがあるのかって見えにくい。何かと比べて豊かだ、という考え方沖縄の人たちしてきたかネー。「命どぅ宝」は何かと比べてというより、戦争を体験して感じた人の「いいきかせ」みたいなものじゃない?比較じゃないよネ。

キセイジジツ

正:だからサ、基地の抱き合わせであったにしろ、「振興策」というものを五十年にわたって体験してきた沖縄の人々にとっての、トミさんの言う「いいきかせ」はなんなのかネ。

トミ:私の「たらいまわし」甘く見てるナ(ジロリと見る)。

正:ハー?

トミ:だってそうでしょう。沖縄の人は金とひきかえだったら米軍基地を受け入れる、なんて一度も言ってない。強制的に土地を取りあげて押しつけて、その見返りまで計算して、そういう事を、なにアレ、キセイジジツ(「既成事実」)として積み上げてきたわけでしょう。積み上げてきたキセイジジツを、まるで沖縄人が選択したようにして今度は、基地縮小の第一歩としての「県内移設」だなんて!こんな気持ちに本土の人もなってごらんなさいって言いたい。 基地をこの土地からなくすという前に、本土日本の人がこのワジワジーした気持ちを感じてもらう事は大切だと思うワケ。知るべき!って思うけど、そこがトミさんのこのお腹、だてにワタブーなわけじゃない。

正:市民運動が、地域のくらしとどうつながるか、この一点に賭けてみたい。

トミ:あんたはエライ。・・・んーと、エライは市長♪

正:ん?・・・市長はやめる、やめるはマヤク♪

トミ:マヤクはヤクザ、ヤクザはこわい。こわいは台風、台風は迷う。迷うは知事、知事は逃げる。逃げるは山、山は高い。

正:(ふんふん・・・)高いは頂上、頂上はサミット。サミットはクリントン、クリントンはモニカ・・・

トミ:モニカはモナカ、モナカはあんこ。あんこは甘い、甘いは・・・・(早く止めてよネ!)甘いは基地の振興策、『振興策付きの基地いらんかねー」


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二人の少年
 昨年、中3の時の修学旅行で来た自由の森学園の少年、神座森と近藤碧。高1になった今年の7月15日、二人の少年は約束どおり現れた。なんと2ヶ月半ほどアシスタントガイドとして働いてくれた。
 ヌーファの森も海もこの二人の若さには圧倒されつづけた。天の川の下の露天風呂で延々と1時間以上歌を歌い続けた二人。海に入ったら出てこない。お客なんかそっちのけで、シャコ貝、ウニ。ごはんはドンブリ5杯以上。洗濯はばぁば。ばぁばもばぁばで、厳しくしなくっちゃといいながらせっせと洗濯。ひもじそうな顔をしていると、ごちそうを作り、名護の町へ連れていく。とめどもないアイスクリーム食い。それでもにくめないこの二人の少年。今年のヌーファの夏はいつにない華やぎのなかで幕を開けました。今後2回にわたって、この二人の少年の山原体験記を本人たちに思うぞんぶん書いてもらいます。今どきまだこんな少年が日本にいるのかと、楽しみにしてください。

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