美ら通信 第4号 1999年10月14日発行
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 美ら・日記(4) 山道づくり奮闘記 
 林道の終点(山頂)からヌーファのじんぶん村まで、ついに山道が完成した。百二十メートル強の坂の山道である。一ヶ月におよぶ奮闘記録を示しておく。汗だくのイモ虫のごとき作業の連続だっただけに、ここでは明色のフィルターを通して少しオチャラケ風に記す。そうでもしないとゲップが出る。
 「ナー、ナーナ、台風のたんびに船あげしてもう大変なってる。金はかかるし船は傷むし。毎回毎回ユンボー借りてきてやってたらもたんよ。」
 「だから早く山道作ろうって言ってるサ。ダー、今から山いって見て来よう。」
 ついに禁断の作業に入るのか。社長の顔はもう山道の顔。
 「予算は八万以内、ゼッタイだよ。」
 その日は昔人の山道さがし。お目当ての草をようやく探しあて、道のコースどりが決まる。電柱、鉄筋、すぎ丸太・・・。
 コースどりした道をざっとこしらえる。社長の顔が暗い。どこか気に入らないらしい。翌日から一人で入口のコース変更を開始する。だれも止められない。変更後の道に橋を二つかける。盛良と楠が加わって入口部の変更ルートづくりが完成する。さていよいよ本格的な山道の階段づくりが始まる。ステップを切り、鉄筋で両端をとめてその上に杉の丸太をのせて一段ずつ作る。のべにして三百五十ほどのステップづくりである。ころぶといけないので一つ一つのステップの根っこを切りとっていく。
 「あのガジュマルとあのマーニーとあのアコーを見せたい。」社長の一言にうなづいたら最後、部分的コースの修正が何回もつづく。できるだけ植物をいためつけないようにと。上の方で「アー、もうこんなことはイヤダーこんなことはイヤダー。」と興英の唄。それに合わせて下の方で伸が「トーキョーさ行くダー。東京さ行って」とまぜかえす。山に石をたたく音、クワの音、ハサミの音がする。お互いをつないでいるのは、あきれるほどの汗、汗、汗、なんでこんなに手をぬけないのか!オオタニワタリの群生、クワズイモの林。そこをぬって曲がりくねってつづく山道。あきれるほどの根っこ、根っこ。ミミズもかわいそうに思えてきて移動させる。バカなことを!と思うがしかたない。もう一度言ってみる。「なんでこんなに手をぬけないのか!」クワズイモの林のなかで、社長が石段をつくりはじめている。服を着たイモ虫。うなり声をあげて石段をこしらえあげている。樹々の間から海にこぼれ落ちている陽光がキラキラ。つめたいビールが!あるわけない。でもどんどん山が好きになっていく。かわいくてしょうがなくなってくる。モオ!ウンコでもしたくなる。
 「アー、もうこんなことはイヤダー、こんなことはイヤダー。」かってにしたら。アホくさい。と、と、ところでクワズイモさん。あんた強いね。こんな石ころの山で、こんなに端正な姿をして。誰も見る人などいやしないのに。オレたちに会えてよかったか。そうおこるナ。チョックラごめんよ、少し移動してナ。
 「この山道に名前つけんとな。」と社長。
 「カッテニシタラ!」とみんな。
 山と海。この二つのものがつながらない限り山原の自然は見えてこない。つなげるのは人の足。道はもともとありはしない、人が歩けば・・・なんて言ってみる。いろんな足に出会ってほしい。そんな山道が完成した。(コ)



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名護市民投票裁判 第八回公判 証人 真志喜トミ
 「却下します。」。裁判官の声に「なぜ?」「説明しろ。」と騒然とする傍聴席と原告団席。
 「合議の上ですので説明できません。」とニベもない裁判官。
 これが民主主義国家の裁判の実態なのか!原告団があれほど望んだ被告の証人喚問を一度もせず、結審するというのか!
 二七年前に、私たちがあれほど請い願い勝ち取った平和憲法の日本の元への復帰はただの幻だったと決定づけた裁判だった。
 沖縄は遠い昔から沖縄人として差別されてきた。第二次世界大戦では本土を死守する為、焦土と化した沖縄と犠牲になった多数の沖縄人。戦後は天皇により犠牲としてアメリカに差し出された沖縄。異民族支配のもと幾多の苦難をしのぎ、やっと勝ち取った日本復帰と思っていたが、そこは母の国、祖国ではなかったと決定づけた裁判というと、大げさと言われるだろうか。
 復帰により日本国憲法は沖縄にも適用され、それによって保証されると思っていた。平和で平穏に暮らしたいという私たちの願いは、国による新たな基地押し付けにより、国の顔色をうかがう現知事によって否定されようとし、国の意のままに操られた前市長にも否定された。そして今また、最後の望みの綱と頼った司法によって否定されるのか。
 証人台の席にひざまずいて座り、淡々と証言する輿石さん、堂々と情熱を込め証言する宮城さん、どんどん声を大きくしながら必死に、それでいてどこか抜けて証言する私。この三人の証言も、原告席の多数の思いも、本土からも駆けつけて下さった傍聴席の多数のサポーターの思いも、裁判官には届かなかった。
 裁判の最中に裁判所の状況を書いたものがあります。裁判がどんなものだったかが少しわかるかと思いますので参考までに・・・。


「四人の被告人弁護士」
  眠る弁護士
  裁判は進む中
  弁護士は眠る
  眠る弁護士
  裁判は進む
  椅子の背にもたれ、そりかえり
  顔を撫でまわす弁護士
  まんまるい顔の真ん中の
  赤い鼻をこすりこすり
  時々眼をぎょろつかせ
  椅子にふんぞり返る弁護士
  額にシワを刻み頭をかきかき
  むつかしい顔で証言を聞く弁護士
  時々動かすペンは何をかいているのか
  タカの眼の様な鋭い眼
  やがて反論の時を得て
  開くであろう口は今
  きつく結ばれている


 反対尋問はなく、ついに開くことのなかった口。こんな弁護士さんて、何もせず収入があるなんていいですネ。

「原告人弁護士」
  汗をかきかき質問する弁護士
  大きな体から出る声は優しく
  証人台の私はその声に徐々に落ち着く
  声がどんどん大きくなっていく私
  何を考えているのかわからない私
  汗をかきかき質問する弁護士
  声は優しく響く

「三人の裁判官」
  身を乗り出して聞く裁判官
  くせかな?
  方言で話すとわからないと言う裁判官
  なぜなぜ?ここは外国ではない
  日本の中の沖縄!
  眼をしばたいてじいっと聞く裁判官
  くせかな?

 一生懸命聴いていると思えたのは単なる癖でした。身を入れて証言を聴いていたなら被告を証言席へという私達の訴えは却下されなかったはずです



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ヌーファ岳散歩 西平伸
 センター小屋から、アダン林のトンネルを抜け、ヌーファ岳入口でくもの巣除けの小枝を拾い、崩れそうな石道を登る。とげとげのサンキライはよけて歩こう。ソテツやマーニー、タニワタリがヌーファの森だと叫んでいる。先人達が積んだ石積みを越え、ガジュマルの根が入り込んだ小道を通ると、誰かが笑っているよう。そして小高い山の頂上、シイノキカズラにピンクの小花がついている。
 そこから降りるとヌーファ川の上流だ。薄暗い沢は、ただ流れていてだれもいない。水は冷たく、川を登り来る風が心地良い。足を水に入れ石ころに座り、そしてヌーファの空気を思いきり吸い込むのだ。大きく、ゆっくり。目を閉じて自分だけ感じるヌーファの森。すると向こうの石にオキナワ羽黒トンボ、沢にはシエーグワー(小エビ)、木の根にコオロギ、木登りトカゲ、メジロピーサー、小ゲラ、アオバト、セミ、アカショービンと。誰もいないと思っていたけど、いっぱいいたんだ。
 よし、いっきに頂上まで行くぞー。登っていくうち、木が低くなっていく。頂上付近は風をまともに受けるため、台風のたびに折れ曲がっていくのだ。アレ!緑色したどんぐりがなっている。まだ8月なのに秋はここまで来ていたんだ。
 着いたぞ頂上。左に琉球王朝時代を偲ぶ番崎、眼下に広がるヌーファの森、じんぶんの小屋が見える。干潮のリーフは透き通った立体地図に細かな形を刻んでいる。右にアブオール、キャンプシュワブ、宮城島、伊計島が見える。
 空はどこまでも青く、水平線の上に線を描いている鳥達はヌーファの風を受け、この森を飛び、この海を眺めて暮らしている。メジロの群がやってきて、ツバメが楽しげに舞っている。昨夏、僕が鳥になった時、君達はまだ僕を受け入れてくれなかったけど、風の歌だけは聞こえていた。今は風の中で君達の歌に姿が浮かんでくるんだ。
 帰りはいっきにヌーファ川まで下り、小高い尾根を登り歩く。左に海を見ながら波の音を聞き、右に流れる小川のせせらぎを感じ、丘をかけ登る浜風を体に受け、ヌーファの動物達の歌声を聞く。ここはいい。いつまでもここにいたい。ここはヌーファの森なのだから。


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<会員さんからの声> 千葉在住の会員 板倉博さん一家からのお便り
 板倉さん家族はこの6月に『じんぶん学校ツアー』に参加されました。ご家族が泊まった夜は、ヌーファの浜は貸し切りでした。家族水入らずでのんびり過ごされたご感想を、お手紙でいただきました。

エコネット・美 御一同様 1999.7.19 板倉博、尚美、慧、暁

 美の皆様、お元気ですか。
先日はありがとうございました。とりわけ稲嶺さんには終始大変お世話になりまして、ありがとうございます。お礼がすっかり遅くなりまして、失礼いたしました。私たちも元気でやっております。あれから早、1ヶ月たってしまい、相変わらずの日常生活に戻ってしまってはいますが、「じんぶん学校」でのすばらしい体験は、今もとても鮮やかに心に刻み込まれています。時折、手を休めては思い出すたびにため息が出てしまい、「また行きたいナー」と思います。先日は夜に限ってあいにくの雨でしたので、この次はぜひ星空を心ゆくまで眺めたいものだと願っています。また必ず行きますので、皆様どうぞよろしく。お元気でお過ごし下さい。(板倉博)

エコネットのみなさん、先日はありがとうございました。灰色のビルとよごれた海の東京に着いてつくづく沖縄にもどりたいなーと思いました。職場でも1週間ばかりボーとスローテンポで仕事をしていました。楠さんは今ごろごはん炊いているのかなあ、稲嶺さんは海をながめて海ガメをみつけているのかなあ。ホタルの光とても美しかったです。ウミガメの卵、マングース、やどかり、セミのふ化、カニ、イモリ。じんぶんの意味を教えてくれた稲嶺さんの声が耳にひびきます。「ゆっくりやろうね...。さあ、なにからしますか。海へ行きますか、山へ行きますか。」また必ず行きます。(尚美)

どうもありがとうございました。海はたのしかったです。(けい)

どうもありがとうございました。たのしかったです。またいきたいです。(あきら)


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