美ら通信 第3号 1999年5月15日発行

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美ら・日記(3) 
  伊集の白い花とともに今年も沖縄・山原に雨が降りはじめてきた。そんな雨の日に、海がまるでネコのように穏やかになる時がある。夏の夕なぎとはまたちがう大らかなゆるりとした海。沖縄本島山原の東海岸、嘉陽の海である。うりずんとはかくあるものかと、足をとめじいっと見いってしまう。イノーはどこまでも平らで、その端にリーフに寄せる波がネコの腹毛のよう。ついさっきまであった心のささくれも棘をぬかれ、しみじみとした穏やかさが体じゅうに広がってくる。
 ふりむくと、先月までは発情していた山々の樹々も雨にうたれ、もうすぐやってくる夏の陽光にそなえている。どこまでもどこまでも穏やかな山原の山と海。
 そういえば最近貝をひろわなくなった。虫の音も聞いていない。夜光虫も。モクマオの針葉の先に光る夜露にうつる月も。せわしなかった昨日。ことばが多すぎた今日。明日はヌーファに行ってこよう。アダン林のなかでこの指に力をこねてまた作業をしてこよう。ユウナのつぼみはもう開いてしまっただろうか。オオタニワタリのくるりとした新芽はピンと背すじをのばしているだろうか。刈り残してきたハジャン樹は悪さをしていないか。棲みついた3匹のマングースは、山猫、イノシシとうまくやっているか。まだ見ぬエコネット・美の会員の人々を、今年は会えるだろうか。(コ)


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真志喜トミのトミコーナー(3)
「浜下り」
 桜の季、新緑の季を過ぎて、山が濃い緑におおわれる頃、暖かい南風に乗って海開きの便りが島のあっちこっちから届く。うりずんから若夏へと移り変わる頃、旧暦の三月三日(女の節句)浜下りの日がやってくる。一年でもっとも潮の引く日で幻の大陸等も現れて、島中の女達が(近頃は男達も)ヤッホーとばかりに海へ海へと・・・。
 私の小さい頃は、婦人会は婦人会で集まって昼は海へ行き、海水で身を清め健康祈願をし、そして、海の幸をどっさり採って来て、夜は夜で一軒の家(毎年持ち回りで)に集まってユナガタ(夜通し)踊ったり唄ったりして遊んだもので、私達小さい子はそれを見るのが楽しみであった。少し大きくなって小学校へ行く様になると、同じ年の人達だけでお米一合ずつを持ち寄って一軒の家に集まり、昼に採ってきた貝やアバサー(ハリセンボン)をおかずに泊まり込みの遊びをしたものである。物の無い時代であったが人々が健康的に暮らしていた三十年前の話である。
 今は、それぞれの家族で潮干狩りやキャンプ等を楽しむ人達が増えて、村中で同い年で、女だけでということが見られなくなったのが淋しい。しかし、若夏に向かういい季に、女だけでこの豊かな海を独占するのはもったいない。男の人もおおいに楽しむべきだ。ウン。
 今年は「エコネット・美」でも浜下りのイベントを組んだ。朝起きると雨であった。しかし、しかしである。嘉陽の浜へ来てみると子供達を含む七人の方がもういらっしゃっていた。雨でも行きたい!という、その心意気がうれしく、「ヨッシャ、行くか。」と社長の勇が勇み、伸と興英が船を引き寄せる。購入したばかりの「じんぶんII号」のグラスボートに乗ってヌーファ目指していざ出発!顔にあたる雨も気持ち良い。
 「わぁ−、ヒトデだ!あっ、魚、魚!サンゴだ!」と騒いでいるうちにヌーファに着く。浜に上がると、昨晩カメが産卵に来たらしく足跡が産卵場まで続いている。ここら辺に産卵したなー、と言いながら皆で足跡を消して行く。(乱獲を防ぐ為) 潮が引くまでの間、滝に行く。お母さん達は、浜ホーレン草やオオタニワタリの新芽を摘みながら、子供達はおき(興英)が話す三億五千年前とかに出来たという石や貝に興味を示しつつ川をさかのぼって滝へ。「泳ごうか。」と子供達は言うが、さすがに滝の水は冷たく断念して帰る。
 センター小屋のいろりで暖を取りながら伸がツタでカゴの作り方や、アダンから取った繊維で紐の組み方の講習を始める。その間他のスタッフと私は昼食作りに精を出す。今日のメニューは、ご飯、ト−フとアオサのみそ汁、ゴーヤーと山菜の天ぷら、浜ほうれん草のおひたし、パパイヤイリチャ−(炒めもの)。沖縄の長寿食だ。子供用にとポーク卵も社長が作ってくれたが、なんと山菜天ぷらやおひたしも、おいしい、おいしいと食べてくれた子供達であった。昼食を終えると雨をものともせず皆は貝を採りに、私は残って後片付けをしたり、濡れた服をいろりの火で乾かしたり・・・と、そのうちいいアンベエ寝てしまった。
 トタン屋根に降る大降りの雨の音は夢の中にまで入ってくる。潮の香も夢の中に入ってきて、私はアバサーをカゴいっぱい捕って「いっぱい捕ったサ!」という人の声に覚めると、皆帰ってきて獲物を見せ合っている。シャコ貝やサザエ等いっぱいの海の幸が袋にあふれている。 「あぬ人、海かい入ねえ飛でる歩ちゅるむん」とお一人で参加された仲本さんを社長が評したが、その方が一番多く貝を採って来ていた。「雨で大変だったでしょう。」と労うと「カンカン照りより良かったサー」と雨降りでも存分に楽しむ自然派の人達である。子供連れの普天間さん達は、とっても楽しかったから次は学童保育の皆で来たいと言って下さった。
 来年の浜下りのイベントは、幼い頃の浜下りをしのんで一泊二日とし、昼は海で、夜は夜通し唄三味線で踊りまくりたいナ−と今、思っている。そして、陸の孤島といわれるヌーファで思いきり楽しんで、一年間身につけた人の世の諸々のアカを清め、健康祈願をしよう。!皆さん、ぜひトミ企画の浜下りに参加して下さい!



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シリーズ ガイドインタビュー(1)具志堅興英
−ざっと、ガイドを振り返って?
具志堅興英(以下オキ):美(ちゅら)でガイドといっても、自分は農業(アデカヤシ栽培)サ。そのあい間にガイドしてるわけ。美の仕事は農業と似てる。ヤシは物は言わんけど手抜きをすると異常が出てくるし、愛情込めれば緑の葉っぱにツヤが出る。気持ちが入ったガイドをすると、お客さんの笑顔が返ってきて、お金もらってるのにお客さんからお菓子の贈り物が送られてくる。不思議だね。


−農業しながらと、冬場はキビ刈りのオペレーターしてるわけで、それにあい間にはじんぶん学校の作業とか、この会社苛酷だよネ。そのあたりは?

オキ:しょうがないさ、初めはこの会社に参加するつもりは無かったけど、やると決めたんだし、結構、キツイ、キツイと言いながら楽しんでるわけさ。それでいいんじゃないか。こんな会社が成り立ってるなんて不思議だし、自分がここでガイドをしてるなんて、考えられんことだった。

−一番楽しかったことは?

オキ:自由の森学園の子供たちをガイドした時だね。あれはたのしかったし、この仕事しててよかったと思った。あんなに素直な中学生がまだいるんだナー、ってびっくり。子供は楽しいナ。だから今年の夏の『子供じんぶん学校』は楽しみなわけサ。それと、ゴールデンウイークの『流しソーメン』の企画おもしろかった!あれは大成功。今度はあの流しソーメンの竹を海までのばして、海で食べるのやってみたいサ。

−エコツアーって何かね。

オキ:ハー?わからんさ。じぶんたちだってここの海や山をまだまだわからんし、やればやるほどわからんとこだらけサ。ただやってみるともっともっと知りたいと思うナ。教えてもらいたいと思う。

−誰に?

オキ:誰じゃないサ、海や山にさ。本に書いてあることじゃわからん。だって、昨年の海と今年の海だって違うし、雨の時と晴れの時でも違う。だから行ってみて初めてわかることの方が多い。それが楽しみだね。
 それと、じんぶん学校を改修してるけど、あんまりきれいにしない方がいいとは思う。思うけど、やっぱり気になるし、こんな風にした方がいいだろうなって思うからやってるけど、時々パニックになる。きれいになり過ぎても困るし、きたなくても・・・。

−自然のもともと・・・。

オキ:もともとなんてあるんかネ。最小限の手入れが一番いいワケさ。だけどその最小限というのがいったいどこまでか、やってるうちにわからんようになる。だから時々休んだ方がいい。休んでまたやっていくと、ここは残した方がいい、と思うことがある。だからゆっくりゆっくりが一番いい。草が生えてきたら生やしとけばいいサ。
−その辺の折り合いをどうつけるかだね。

オキ:そうさ。便利できれいだけじゃないサ。便利すぎるとおもしろくない。だけど、風呂はあった方がいいな。海の見える風呂!最高サ!

−それはやりすぎとは違うのか。

オキ:いいサ。風呂はいい。アダン林で海を見ながら風呂。これだけがたのしみやっサ。



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小さな春 西平伸
小学校の校庭で
小さなねじり花が咲いていた
芝の中からすーっと細い茎を伸ばし
白と緑のらせん階段を
ピンクの小花が登っていく
かんだで編んだ一輪挿しに
カーサの葉っぱで水を受け
札幌の猫柳と共に挿し
すみれの花をわきにそえると
小さな春が笑っているよう



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