美ら通信 第2号 1999年2月25日発行
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 美ら・日記(2) 
 沖縄のことをわかる、という尺度の一つに「ソー」ということばがある。「ウフソー」のソーである。
 「ソーネーン」ということばがあって、雰囲気としてはわかるのだがしっかりとはわからない。そこで私はここ10余年この「ソー」の意味をよく人に聞いてみる。もちろん、おじい、おばあにである。すると必ず「なんていっていいかね・・・。ソーイレーとか言うさネ。だからなんて言ったらいいか、気合いでもないし、根性でもないし・・・。」「人相の相かな?」「ちがうナ。なんて言ったらいいかネ・・・。わからんサ。」となる。
 標準語(大和語)にすること自体が無理があると言ってしまえばそれでチョンなのだが、もう少しねばって聞いてみたいと思うことば。山原ではわりと使うことばなのである。地域ごとのことばのズレは承知しているのだが私にとっては愛着ひとしおなのである。「ソー」ということばが使われる状況はけっこう大切な場合が多いことがそのこだわりの根にある。
 この「ズレ」を少し場面を変えて、「大和日本」と「沖縄」を考えてみるとおもしろい。ことばのズレで済むことに「政治」がかぶさってきて、ズレがズレのままで済まなくなっている。『ガイドライン』ひとつとってもそれが言える。その政治に金が結びつくと、かぶさり方は尋常ではない。「思いやり」などという暮らしのことばが政治にからんでくると沖縄の現実と過去がワジワジーしてくるのではないか。(コ)


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真志喜トミのトミコーナー(2)
芽吹きの森トレッキングコースを歩いて
 2月14日、盛良さんの案内で東京からいらっしゃった稲若さんと私の三人で、3月21日と4月4日にイベントが予定されている『芽吹きの森トレッキングコース』を歩いた。薄曇りの日で風も適当に吹いていて歩くには最高の日であった。盛良さんと私の格好は、どうひいき目に見ても弥次さん喜多さんで、その二人にこれまた色の黒い若ちゃんが入って沖縄版弥次喜多・若ちゃん珍道中となってしまった。
 
瀬嵩の裏林道入り口より山を登り始める。登りはじめの所から、ゴルフ場の建設が進められていて、昔の山の面影がなくなって淋しい思いをしたものの、途中見える汀間の民家のたたずまいや、どこまでも青い太平洋の眺めはすばらしい。右手に目をやると大浦湾の対岸に巨大なキャンプシュワーブが嫌でも目に入ってくるのも、これまた沖縄の現実である。
 「これがサーターギー(木)、あれはウメーシギー。山で箸を持っていないときに箸替わりに使う木」歩きながら盛良さんが一つ一つ説明してくれる。フンフンと聞いている私の側で若ちゃんがパチパチ写真を撮りメモっている。あおあおとした木に混じって花のように美しい赤色や、目の覚めるようなピンク色の芽をふく木が多く、2月の山歩きはこの地に住んでいる者にも新鮮な発見と驚きを与えてくれる。
 途中、知的障害者の施設名護学院を通って、施設に生活する院生の作った花の苗や陶器作りを見ながら表林道へと抜ける。ガイドの西平伸さんの蘭のビニールハウスを右手に見て、舗装された林道を行くと、右に左にウラジロガシ、シイ、ヒカゲヘゴ、白玉カズラなどの新緑が続き、また途中咲いている花は、ムベ、ツワブキ、ハクサンボク、エゴ、シルミジボー、シャリンバイ、インギーマー、などなどと多く、特にエゴの木の下は白い可憐な花がこぼれていて歩くのが楽しい道である。
 一本松を過ぎるといよいよ林道をはずれて昔の馬道に入る。木が生い茂って一人がやっと通れる馬道を登って行くと樹間を吹いてくる風が心地よい。ここはどんぐりの木も多く(イノシシも多い)実のつく頃も楽しみであるが、何より嬉しかったのは復帰後業者によって採りつくされてなくなったかと思われた琉球エビネ、ツルランなどのラン類(7・8月頃が花期)をそこそこに見ることができたことである。でも、私たちがここを案内して、また、心ない人たちに採られてしまうのではと心配にもなるが、まあいいか・・・。
 ここでは、馬道のことや戦前の人たちのくらしの様子などを盛良さんが説明してくれるが、小さい頃、お父さんと一緒に売るための薪を採りに山に入っていたというだけあって、その説明もさすがである。
 頂上近くのちょっと開けたところで昼食にする。そこからの眺めは所々芽吹いた山々が連なり、その山々に抱かれて林道や名護学院、伸さんのランのハウス、汀間の集落、カヌチャゴルフ場が見え、山々の先に太平洋が広がっている。その雄大な景色を見ながらカーサー弁当を食べると得も言われぬ気持ちになるが、残念ながら伸さんのような詩心を持ち合わせていないので詩も歌もなくただ黙々と弁当を食べる三人であった。
 馬道から再度林道に出て歩く。あっちこっちにヒカゲヘゴの群生があり、大きな葉が涼をさそう。2月に涼をさそうと言うと大和の人には理解しがたいと思うが、私たちは汗をかきかき登っていたのであった。故に涼をさそうということに相成るのである。
 さてさて、ヒカゲヘゴや山原の芽吹き出した山々を見ながらしばらく行くと、左手に電波受信所がありまして、そこをちょっと行ったところにシタミチクルボーの木(ヘッヘー、この木わからないでしょう。現物を見に来て!)があって、ちょうど花が満開で空色の可愛い小花をいっぱいつけている。シタミチクルボーの花を見てすぐ右手の山へ入る。そこからは汀間の集落までずーっと下りである。
 うっそうと繁った木々の下、盛良さんが下草を刈って作ってくれた道を辿って行く。入ってすぐの所を横にそれると戦後まで人が住んでいたという場所に出る。そこは、住居跡らしき所や段々畑の跡らしき所があるが、今では木が繁ってよく気をつけてみないと、とっても人が住んでいたとは思えない所である。「目ぐるぐるして、周りを見て石垣の跡なども見なさい。」と盛良さんに言われるが、道なき道に等しい所で、歩くのに必死な私達は足元を見るのが精一杯で周りを見るゆとりもない。
 「猪の兄弟で『じんぶん王国』の王様の盛良さんでなければ、こういう所へ入ろうと思わないでしょうネ。まして、道を作って人を案内しようなんて思わないなー。」
 「3月のイベントの時は、山すべてが緑に染まって、それこそいいでしょうけど、今の芽吹きもぜひ見てもらいたいネー。」
 大きなウラジロガシに登った盛良さんに「あっ、キジムナーがいた!」(※キジムナーとは沖縄の民話に出てくる木の精)とか言いたい放題言いながら、盛良さんが作ってくれた道をとっとことっとこ付いていく。
 盛良さんは、見せたい所があると、まだ道をつけていない所もどんどん行くので、大きな溝を飛び越えたり、山の斜面を駆け登ったりと、大変であるが、そういうところは見晴らしが良く、眺めが素晴らしかったり、昔の村人の生活跡だったり、大きな老木が板根を張ってどっしりと構えていたりで、変化に富んでいておもしろい。イベントが行われる3月〜4月はシャリンバイの花が満開になり、緑も濃く淡く全山を染めて美しいことだろう。
 私達エコネット・美のスタッフが紹介する海や山は、独自にコースづくりした所ばかりで他では味わえない沖縄の中の沖縄である。イベントの時だけでなく、お客さんがいらっしゃれば毎日案内しています。
 「沖縄に来る時は、何も計画立てずに来て3日なり、一週間なり、盛良さん達にまかせて、ゆったり、そして誰も知らない自分だけの場所と時を独り占めするというのが最高かもね。」
 頂上から汀間へ下ってくる間に咲いている花は、登りに見た花々の他に赤い山つつじや淡いピンクのサクラツツジが美しい。どんどん下って来て汀間の集落近くになると、山の下草が全て刈り取られて細い木々も切り倒されている所があってがっかり。切り倒された後にイスの木が植林されている。イスの木が大きく育てば今ある大きな木も切り倒すような植え方であり、心が痛む。日本の行政のまずさは、地域の特性を考えずに何でも一律に押し付けてくることであるが、林業もまたか、と悲しい思いがした。大和の林業のやり方を沖縄にも一律にやって下草や雑木を切り倒してしまうと、この豊かな山原の山が今に、貧相な林業行政の様に貧相な山になってしまうことだろう。あー、いやだなぁ、もう!豊かな山の中を歩いて来て豊かな心になったと思ったのに・・・。豊かな海でも見て気を取り直すとするかと思ったけど、この海もヘリ基地が出来ると死んでしまうのかと思うと日本政府のやり方に嫌気がさしてくる。
 あぁ、何だかんだと言っても山は美しい。海も豊かだ。この山、この海を眺めて山や海の声に耳を傾けて・・・。そして、いつまでも豊かな気持ちで暮らそう。暮らしたーい。
 皆さんに盛良さんが開いた良いコースを紹介しようと思ったのにとんでもない所に逸れてしまったけど、これも現実。でも、山原の山はあなたを待っている。海もあなたを待っている。美しく豊かな・・・。


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西平家のウニムーチー講座 レシピ:西平みのり(伸の長女)
 30個のムーチーを作ろう!
材料:もち粉1kg、ベニイモ大2本600g、グラニュー糖250g
カーサー葉(サンニンの葉)30枚


1 ベニイモをつぶす。
(1)深ナベにイモを入れ、水をたっぷり入れて火にかける
(2)くしでイモをさした時にすーっと入ったらOK
(3)皮をむいたベニイモを棒などを使ってつぶす


2 もちをつくる
(1)1kgのもち粉をボールに入れ、グラニュー糖250gを混ぜる
(2)次に(1)とつぶしたイモを混ぜ、水を数回に分けて加えながらこねていき、耳たぶの柔らかさになったらOK。30個つくる。


3 ムーチーガサの葉を洗っておく
(1)カーサー葉も水気を拭き、キッチンペーパーで葉の裏側にサラダ油を塗る。(もちがはがれやすくなる)
(2)(1)の葉に2で分けたもちをのせ、ハンバーグのような型にする。包み方→葉先を折る→葉の両サイドを折る→茎側を折る


4 蒸す
沸騰したナベにあみを置き、もちを重ならないように並べてふたをしてむす。20分もするとカーサー葉の香りが広がってくる。葉の色が変わったら出来上がり。

 少しさまして水気をとばしていただきます。



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風の歌 西平伸
君はまだ若いから、たくさん悩みたくさん泣いて
いっぱい笑って、そんな青春もいいが‥。
森へ入ってごらん、ほら、君は一人じゃないよ。
小鳥が歌い、風にゆれる草花が語りかけてくる。
いつか森の精に会える気がする。


ヌーファでは素直な自分がそこにいる。
ドジして、まぬけで、少しセンチで、ここではそれが恥ずかしくない。
海に入ってごらん、かわいい魚がいるだろう。
ひょうきんな魚がいるだろう。もっとよく見てごらん。
目と目が合うだろう。見られているのは僕達の方。


一つの好奇心と少しの勇気。そこから一歩踏み出せば、
違う自分がそこにいる。新しい世界がそこにある。
青空の中を飛んでごらん。海が青いだろう。
空も広いだろう。山も新鮮だろう。
青空の中で風の歌が聞こえる。

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