マーティンは自宅で食事の準備をしていた。マッチでコンロに火をつけようとした瞬間、電話が鳴る。相手はテレマーケティングのセールスマンだった。マーティンがセールスマンのしつこさに怒って電話を切ろうとした時、電話の向こうの状況が一変したのを感じる。
電話の向こう、テレマーケティング会社にはその会社を解雇された男ダニエルが、そのことに怒りショットガンを持って乱入していた。ダニエルは同僚や上司を次々と射殺し、ショットガンの弾が尽きると、用意していた拳銃で自殺する。
-本日のお客様-
マシュー・クラーク・ヘイゼン 享年41歳
MATTHEW CLARK HAZEN (1962-2003)
マーティン・ジェイコブズ 享年25歳
MARTIN JACOBS (1978-2003)
アンドリュー・ウェイン・ミルン 享年51歳
ANDREW WAYNE MILNE (1952-2003)
ダニエル・グラント・ショーウォルター 享年35歳
DANIEL GRANT SHOWALTER (1968-2003)
F&Dではこの事件で射殺されたアンドリューと、彼を射殺したダニエルの2人の葬儀を行うことになった。しかしフェデリコはデイヴが殺人犯であるダニエルの葬儀を引き受けたことに不満を感じていた。3人もの人間の命を奪った殺人犯を弔い、その殺人犯を育てた彼の両親を慰めることが理解できないからだった。しかしデイヴは、ダニエルが殺人を犯したことは彼の両親には責任はなく、また息子が殺人犯になって自ら命を絶ったことで負った悲しみを少しでも癒してあげたいと考えており、2人は激しく対立する。
フェデリコは自問自答しつつ、不本意な仕事ながらも葬儀業者のプロとして、ダニエルの遺体をエンバーミングする。そして迎えたダニエルの葬儀の当日、彼の遺族たちが集まり嘆く姿を見たフェデリコは、ダニエルの殺人には遺族たちに責任があると再びデイヴと言い争う。そんな彼にデイヴは、「君は人間を分かっていない。分かってるつもりだとしたらそれは幻想」だと告げる。
家に戻ったフェデリコは、仕事の疲れや帰って早々ぶつけられた妻バネッサの愚痴に苛立つ。部屋は息子フリオが遊んだ後散らかっており、そのフリオは大音量でTVを観ていた。フェデリコは怒りにまかせてフリオを怒鳴るが、自分の衝動的な行動がダニエルのとった行動と根本的なところでは変わらないことに気づき、TVの音量を落としてフリオを抱きしめる。
ルースの元に珍しく妹のサラから電話がかかってきた。梯子から落ちて腰を痛めて動けず、処方箋を教えるので薬を届けて欲しいというのだ。ルースはすぐに薬を持ってトパンガのサラの家に向かうが、彼女を出迎えたのはベティーナという初対面の女性だった。サラも姿を現すがひどく衰弱した様子にルースは驚く。そしてルースの持ってきた薬のことでベティーナとサラは激しく争い出し、サラは奥の部屋に追いやられる。状況を飲み込めないルースにベティーナは、サラが薬物依存症で薬を断とうとしている最中で、禁断症状に耐えられなかった彼女は腰を痛めたと嘘をついてルースに薬を持ってこさせたことを説明する。事情を飲み込んだルースはベティーナとサラの看病を共にし、意気投合する。
フィルとの関係にときめくクレアは、大学のクラスメイトであるラッセルにそのことを話していた。相談しやすく、好きなシリアルの種類も同じ彼にクレアは親しみを覚える。
クレアはフィルを自宅に招くが、彼から他の女性とも関係を持っていることを告げられる。真剣な相手を見つけるまでは多数と同時に付き合ってもいいというフィルの考えを、相手は1人だけでいいと考えるクレアは理解できなかったが、また彼と関係を持ってしまう。
カウンセリングにデイヴが仕事の都合で来られなくなり、キース1人で受診することになった。カウンセラーからデイヴが隣にいるつもりで言いたいことを言うよう言われたキースは、普段言えなかったデイヴへの不満を口にする。
ネイトとリサのディナーに招かれたデイヴとキースは、2人が子供を持ったことで2人の関係のバランスがとれるようになったことを教えられるが、キースは子供を持つことに関心がないようだった。それが気になったデイヴはキースに以前子供を持つことを2人で決めたことを確認するが、彼は自分たちの関係がカウンセリングに通わなければならないほど危険な状況であり、いつ2人の関係が終わるかも分からない現実を直視するようデイヴに告げる。
ネイトとリサはマヤをめぐる些細なことでの喧嘩や、リサの上司のキャロルのわがままに2人の時間を妨害されるなどトラブルが耐えなかったが、マヤと共に過ごすことで仲直りをするの繰り返しが続いていた。ネイトはそんな自分の生活に疑問を感じ始める。
フェデリコ「金欲しさになんでも引き受けるんだろ?だけどやりすぎだ!」
デイヴ「金の問題じゃない!…葬儀は遺された人のためのものだ」
デイヴ「ショーウォルターさんの痛みが、ミルンさんの痛みより軽いと思うか?」
フェデリコ「自業自得だね。あの夫婦が子供をちゃんと育ててりゃ誰も死なずに済んだ」
キース
「ソバ柄の枕がムカつく。鼻にする、あのスプレーも。物を食う時チョビチョビ食うのもよせ!一口ごとにフォークを置くのも苛つく!どこの王子様だ!?それに寝る時俺の肩に頭を乗っけてくるのもよせ!重いんだよ!!やたら言うことを聞くな、自分が親父みたいに思えて嫌になる!」
フェデリコ「世の中やなことだらけだ。でも、俺はキレたら物を投げる。人に向かってショットガンをぶっ放して、殺したりしないぞ」
ダニエル「…ああ、今のところはな」
デイヴ「この人たちにとっては殺人犯ではなく息子で、兄弟なんだ」
フェデリコ「だったらこいつらにも責任があるだろ。あいつが何を考えてるか気づかなかった」
デイヴ「いい加減にしろよフェデリコ!モラルばかりで物事を判断するのはよせ。なんでも白黒つけられるわけじゃないんだ」
サラ
「ある時ふっと気がついたからよ。自分がもう若くも綺麗でもないんだって。しばらくはそれもカバーできた。他を強調したの、個性よ。だけどだんだんそれも効果なくなって…もう、やりきれなくて…」
ルース
「おとなしくしないとこの腕折りますからね!!」
冒頭の死亡人数では記録更新した今回。大量殺人犯の葬儀に疑問を持つフェデリコと、殺人犯とはいえ遺された遺族のことを考えるべきだというデイヴの争いに焦点が当たっていましたが、いつもフェデリコびいきな私でもさすがに今回はデイヴの意見に賛成してしまいました。確かに結果として殺人犯を育ててしまったとはいえ、子供ならまだしも、成人した大人が殺人を犯すか我慢するかの判断をするのはその人本人なわけで、両親や家族にはよほどの家庭内事情がない限りはないと思うんですよね。それにフェデリコの言う「周りにも責任がある」ということは、殺されてしまった人もダニエルを解雇しなければ殺されることはなかった、と意地悪な見方もできてしまうわけですから。最終的には何かしらの結論を見出した感じのフェデリコですが、今回のように葬儀ディレクターとして成長していくエピソードが増えるのだろうか…と淡い期待をよせてみます。
サラの監視役(?)で登場したベティーナはアカデミー賞女優のキャシー・ベイツ。「シックス・フィート・アンダー」では第1シーズンから何話かエピソードの監督もされています。
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