黒鉛


黒鉛の構造1  炭素の2番めの同素体の黒鉛(セキボクあるいはグラファイトとも呼ばれる)も共有結合性物質であるが,ダイヤモンドとは構造が異なっている。

 右図のように,黒鉛の炭素は4つの結合(4つの不対電子)のうちの3つを使って平面的な六角形の構造(ハチの巣状構造)を作っている。
黒鉛の構造2  そして,残るひとつの不対電子は,六角形の平面の上下に動き回って「ロブ」を形成し,上下にできている別のハチの巣状平面を作っている炭素原子のロブと重なり合うことで共有電子対を作り(左図),上下の平面内の2つの炭素原子が結びつく。ただ,この「4番めの不対電子」は(電子1個で)その平面の上下2方向にロブを作っている(図で,原子1個につきロブは2つだが電子は1個しか描いていないのに注意)ので,生成した結合は長くはもたず,その結果,平面どうしの結合はゆるく(黒鉛平面間の結合),この平面は,はがれやすい。

 黒鉛は鉛筆の芯の原料として用いられている。黒鉛は,このうすくはがれやすい性質により,紙等にこすりつけられると,面ごとにはがれて紙に付着し,それによって跡が残る―線が描ける―のである。

 黒鉛の化学式もダイヤモンドと同じく,組成式の「C」であるが,ダイヤモンドと黒鉛を区別する必要があれば,「C(ダイヤモンド)」「C(黒鉛)」として示す。


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