ボイルの法則は,「温度が一定の場合」の「圧力と体積の関係」であった。
今度は「圧力が一定の場合」の「温度と体積の関係」を考えよう。
物質は,それが固体であれ,液体であれ,温度が高くなると膨張して体積が大きくなり,温度が低くなると収縮して体積が小さくなることは,小学校の頃からよく知っていることだろう。
気体の場合は,この変化がより顕著であり,体積の変化が,温度と一定の比例関係を示す。これは,物質の持つ熱エネルギーに比例して,気体粒子の熱運動が速くなるために,押し広げられた体積が温度と比例すると考えればよい。
左図は,1mol の気体の体積とセッ氏温度との関係のグラフである。これを見ると,温度と体積には明らかに比例関係があることがわかるが,完全な「比例」ではない(完全に比例するなら,グラフは「原点」を通る)。このグラフでは,1 mol の気体の体積は0℃のときに0 l ではなく,22.4 l である。これは,
さて,グラフを見てわかるように,温度と体積の関係の直線を延長すると,-273.15℃で体積が0になる。
この「-273.15℃」という温度のことを覚えているだろうか。これは「絶対零度」の値であった。絶対零度は物質粒子の熱振動が停止する,理論上の最低温度として定義されたが,気体の体積が0になる温度でもあるのだ。