ろうそくの炎(ろうそくが灯っている状況)を観察し,そこでどんな変化が起こっているのか――ろうそくの燃焼のメカニズム――を考える。
黄色に輝く炎の上端は,「縁」が はっきりせず,徐々に薄くなって 消えていくように見える 黄色に輝いている炎 (炎全体の上部2/3くらい) 炎全体の下部1/3くらいまで芯 が入り込んでいて,炎の下縁か ら円錐形に薄暗い部分がある 炎の下縁部は薄青色をしている |
芯の先端は「黄色に輝く炎」の 中に入り込み,赤熱している 炎の下端より上の芯は黒く 炭化している ろうそくの棒体の最上部は, 球面状に凹み,融けた液体の ろうがたまっている |
→ 明るい炎の直上部(輝く炎はない) —— 何も付着しなかった。 この部分には,ガラス棒に付着するような物質は存在 しないと考えられる。 → 炎の明るく輝いている部分 —— 黒くススが付着した。 ガラス棒を差し入れたとき,黒煙が上がった。 このことから,この部分には炭素の固体微粒子が 存在すると考えられる。 → 炎の下部(芯の周囲) —— 炎の縁のあたりにはススが付着 し,「円錐形の薄暗い部分」では,無色の液体が付着 した。 ガラス棒を炎から取り出すと,この液体は無色(白)の 固体となった。 このことから,芯の周囲の「円錐形の薄暗い部分」には, 気体のろう(パラフィン)が存在し,ガラス棒を差し入れた ことで,冷やされて凝結し,液体としてガラス棒に付着 したと考えられる。 |
明るい炎の直上部(輝く炎はない)―――→ 強く焦げた。 この部分は(目に見える炎はないが)温度は一番 高いことがわかった。 炎の明るく輝いている部分 ―――→ 明るく輝いている部分のすぐ外側が焦げた。 明るく輝いている炎の内部でも,時間が少したつ と焦げてきた。ここではススも付着して黒くなるが, ススはふき取れるので,焦げ目とは区別できる。 炎の下部(芯の周囲) ―――→ 目に見えている炎のすぐ外側に少し焦げ目がつい た。 |
← 炎上方の 高温度の空気 の上昇気流 炎の影 → |
5. 灯っているろうそくを直射日光の下に置いた |
明るい炎の直上部(輝く炎はない) —— 外炎 最も温度が高い。 ここで炭素と水素が空気中の酸素と酸化反応を起こし,大き な熱を発生していると考えられる。 ここから明るい炎の外周部下側に向かって,温度が下がっ ていくことから,酸化反応を起こす炭素・水素の量が減少 していくわけで,これは,炎内部にも上昇気流が生じ,炭 素・水素の原子の多くは上部へ移動するからと考えられる。 炎の明るく輝いている部分 —— 内炎 ここでは,気体になっていたろう(パラフィン)が,まわりの熱を 受けて分解し,炭素原子(スス)・水素原子が生じていると考 えられる。この炭素原子が,熱によって黄色の光を発している のが,「黄色く明るく輝く炎」であろう。 この部分では「熱の発生」は起こっておらず,「熱」は,炎外周 から供給されるので,温度は外周部よりずっと低いと考えられ る。 炎の下部(芯の周囲) —— 炎心 ここには,「ガラス棒にろうが付着した」ことから,気体のろうが 存在し,これは,芯を毛管現象によって上がってきた液体の ろうが,まわりの熱を受けて気化したものと考えられる。 ここでは,ろう(パラフィン)が分解を起こすほどの温度には なっていないので,炭素原子の発光も起こらず,暗いのだと 考えられる。 |
ろうそくの燃焼のメカニズム |
図中,緑の矢印は「状態変化」を表し, 赤の矢印は「化学変化」を表している |
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ろうそくの棒体の先端部は,球面上に凹み,液体のろうが溜まっている。 炎下端部の形に沿って熱が放射されているので,炎下端部の形に温度分布が起こり,その形にろうが融解して液体になる。 |